ダイヤモンド・リテイルメディアでは、小売業の経営企画、情報システム、広報、ITなどの担当者に対し、情報システムにかかわる課題、システム導入によって実現したいこと、店舗・販促・基幹分野におけるIT環境整備の進ちょく状況、システム投資額や伸長率、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みスタンスや重点分野および推進体制などに関するアンケート調査を実施。28社より回答を得た。アンケート結果からは、情報整備に関する現状と変化の方向性、小売業においても成果が見えつつあるDXの現状と課題が見えてくる。
回答企業一覧(28社)アクシアル リテイリング、アスクル、イオン九州、イオン北海道、イオンリテール、いちやまマート、オーケー、コープデリ連合会、コープ東北サンネット事業連合、サニーマート、サンデー、セブン&アイ・ホールディングス、東急ストア、東武ストア、西鉄ストア、パルコ、パルシステム生活協同組合連合会、ハローデイ、バローホールディングス、阪急オアシス、福井県民生活協同組合、フジ、平和堂、マックスバリュ西日本、ミニストップ、ラオックス、ローソン、ワークマン(五十音順)
情報システムの現状とIT導入・活用の課題
相変わらず不足傾向 IT人材の確保が課題
情報システムの現在の課題(図表❶)については、「情報システム部門スタッフの育成」(71.4%)、「老朽化したシステムのリプレース」(67.9%)が、他項目を引き離し1~2位を占めた。この傾向は、前回調査に比べてもさらに強まっている。
DXやIT活用に攻めの姿勢で臨むなら、ベンダー任せではなく社内IT部門が率先主導するのが望ましい。さりとてIT人材に関しては、需給がひっ迫していることもあり各社とも確保に苦労している。加えて、社内育成も容易ではない。リーマンショック後、システム業務は外注化が急速に進んだせいもあり、多くの企業で社内のIT人材が手薄になった。DXの機運もあって方針を変更したがうまくはいっていない現状が垣間見える。
経済産業省が「2025年の崖」として警告を発している、老朽化システムの刷新も大きな課題だ。企業の主機能を支える基幹システム(メーンフレーム)の半分以上が、導入後20年以上のベテラン選手といわれている。複雑かつブラックボックス化したレガシーシステムは、早急な見直しが求められている。
その他、「導入したITの社内での定着・活用」(39.3%)、「情報セキュリティ・内部統制への対応」(35.7%)、「ITコストの削減」(32.1%)も、昨年に引き続いて上位となった。
一方で、「商品や販促などユーザー部門との連携強化」(14.3%)に関しては、前回調査より大きく割合を下げた。コロナ禍の影響で、店頭が盛り上がりに欠けていることも影響していそうだ。
情報システム整備によって実現したいこと(図表❷)については、
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