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音と食の融合 恵比寿ガーデンプレイスに出店した新業態「ブルーノート・プレイス」とは

有名ジャズクラブ「ブルーノート東京」のほか、バーやダイニングを運営するブルーノート・ジャパン(東京都/伊藤洋翔社長)は2022126日、東京・恵比寿に新業態ダイニング「ブルーノート・プレイス」をオープンした。食事をしながら生演奏ライブやDJを気軽に楽しめるコンセプトをめざした同店。出店の経緯やねらいについて、同社の開発担当者に話を伺った。

ブルーノート・プレイスならではのコンセプトとは

「ブルーノート・プレイス」

 ブルーノート・ジャパンが東京・南青山に「ブルーノート東京」を開業したのは1988年のことだ。同店は料理とお酒を味わいながらジャズなどのトップ・アーティストのライブを聴けるクラブとして、30年以上にわたり音楽ファンなどに親しまれてきた。それ以外にも、同社では東京近郊や関西、福岡にレストランやカフェなどを展開している。

 そのブルーノート・ジャパンが2022126日に新しく出店したのが、食事と音楽を融合させた新業態ダイニング「ブルーノート・プレイス」だ。場所は「恵比寿」駅から徒歩約5分の場所にある「恵比寿ガーデンプレイス」内、旧「ビヤステーション恵比寿」の跡地に出店した。同店は1階にライブステージとDJブースを設置し、食事をしながら幅広い音楽ジャンルの生演奏ライブやDJを気軽に楽しめる。席のタイプはダイニングやバー、ラウンジ、個室、テラスとさまざまで、12階合わせて370坪の床面積に約230席を用意する。

1階席。エントランスからキッチンまで見渡せるようにして広々とした空間を演出している。
2階席。席の間隔を広く取り、ブルーノート東京よりもゆったりとした空間にしている。
2階席(窓際)。歴史のある建物の風合いを生かすため、あえて床や壁のレンガには手を入れていない。
2階バー席

 屋号に「ブルーノート」が入った店舗は、ブルーノート東京以外ではブルーノート・プレイスのみだ。ブルーノート・ジャパンの店舗開発部マネージャーの松内孝憲氏は、「(両店舗は)屋号は同じだが、コンセプトが異なる」と説明する。

 続けて松内氏は「ブルーノート・プレイスでは、入店する目的をダイニングに置いた。チケット代が発生するブルーノート東京とは異なり、ブルーノート・プレイスはあくまで『飲食を楽しむ』ことを優先している。その食事を楽しむ時間、空間の中に、音楽をどう組み込むかを念頭に置いて店づくりをした」と語る。

音響をはじめとする店づくりにもこだわりを尽くす

1階席+ステージ
1階DJブース

 飲食や会話を楽しんでもらうことを優先するブルーノート・プレイスだが、音楽を最大限に楽しめる環境づくりにも余念がない。松内氏は「飲食と音楽作成を両方運営している会社は、国内では当社以外にほぼない。“音と人のつながり”をテーマに、音楽と食を融合した最適な空間の在り方や楽しみ方を考えられるのが当社の強みだ」と強調する。

 店内のスピーカーは、高性能スピーカーで知られる田口音響研究所製の「Taguchiスピーカー」を採用。本来はスピーカーをお客に見えないよう設計するのがセオリーだが、音響を優先してあえてスピーカーを前面に出すことで音が立体的に聞こえる音響環境を実現した。店の外にもスピーカーを設置しており、テラス席や外を歩く通行人にも音が届くようにしているのもポイントだ。

 「夏は窓を開けて、より開放感のある空間になる。ブルーノート東京はあえて入口を狭くして、階段を下がって奥に進んだ先の開けた場所にステージがあるという演出をしている。一方で、ブルーノート・プレイスではお店の様子を外からでも見やすいようにすることで、ブルーノート東京とは異なる価値観を表現している」(松内氏)

 店内のデザインにもこだわりを見せる。壁面に設置した本棚などのインテリアのレイアウトは、著名ブックディレクターの幅允孝(はばよしたか)氏に依頼。おしゃれで落ち着く空間を演出している。

2階の通路

自然派ワインに合う料理を提供

ブルーノート・プレイスの外観

 提供する料理は、ローストチキンやシーフードプラッターなど「モダンアメリカ」をテーマとしたさまざまなメニューをラインアップする。また、自然派ワインを充実させているのも同店の大きな特徴で、常時約50種類を揃えているという。

 料理は、50種類を揃える自然派ワインに合う味にするため、フレンチ出身のシェフが自然な味に仕上げているのが特徴だ。価格帯はランチで20003000円、ディナーで1万円程度となる。

 ブルーノート・プレイス開店後、お客からの反響はポジティブなものが多かったという。

 「ご来店いただいたお客さまからは『(ブルーノート東京と比較して)気軽に行けるお店ができてうれしい』といった声が寄せられている。今後は既存のお客さまだけではなく、今までブルーノート東京には興味なかった方にも来店してもらいたい」(松内氏)