イオン(千葉県/吉田昭夫社長)傘下のビオセボン・ジャポン(東京都/岡田尚也社長、以下ビオセボン)は6月24日、神奈川県・横浜駅直結の商業施設「ジョイナス」内に、26店舗目となる「ビオセボン ジョイナス店」(以下、ジョイナス店)をオープンした。その売場づくりや、最近のオーガニック、ヴィーガン食のトレンドを踏まえたMD(商品施策)についてレポートする。
横浜駅直結の好立地に出店!
ビオセボンはオーガニック食品を中心に扱う食品スーパー(SM)。2016年、東京都港区に「ビオセボン 麻布十番店」をオープンして以降、30〜40代の子育て世代の女性をターゲットに出店を続けている。進出当初は、麻布、目黒、渋谷など、流行に敏感で健康や品質への意識が高いターゲット層が多く暮らす地域へ路面店を出店してきたが、近年では商業施設内やいわゆる“駅ナカ”立地などにも多く出店している。
今回オープンしたジョイナス店は、常に多くの人々が行き交う横浜駅のメイン通路同士を結ぶ通路沿いの好立地。ジョイナスのキーテナントである横浜高島屋の“デパ地下”にあたる「TAKASHIMAYA Foodies’ Port2」に隣接しており、集客効果の高い立地でもある。横浜という立地柄、広域からお客が集まることを想定し、ビオセボンではこのジョイナス店を“情報発信地”として位置付けている。
狭小店舗ながらも充実の品揃え
それでは、店舗を具体的に見ていこう。店舗面積は26.4坪で、酒類・冷凍食品・店内調理品を除く2236SKUを取り扱う。これは、同時期にオープンした店舗面積約70坪の「ビオセボン 恵比寿店」(東京都渋谷区)が、酒類などを含めて2683SKUであることと比較すると、さほど遜色のない品揃えだ。
陳列の工夫としては、通路からよく見えるエンドに、ビオセボンの定番商品である植物性ミルク「イソラビオ」シリーズを配置。向かいの横浜高島屋でパンなどを購入したお客が合わせて購入しやすいよう、250mlサイズのものを多く陳列した。イソラビオは手軽に取り入れられるオーガニック、ヴィーガン食として最近とくに人気が高まっており、なかでもアーモンドミルク(無糖)が最も売れ行きが良いという。
また、店舗入口の目立つ場所には、同じく6月にオープンしたばかりのオンラインショップで人気のアイテムや、SNSで話題になった商品を集めた棚を設けた。ラインアップを見ると、クッキーなどの焼き菓子やコーヒー、パスタなどが現在人気を集めていることがわかる。この棚は、オンラインショップでの売れ筋などに合わせて定期的に商品を入れ替えていく予定だ。
オーガニック、ヴィーガン食の流行は?
ビオセボンはコロナ禍で新規顧客を多く獲得している。コロナ禍で自身の健康や食生活について見直した人が多く、オーガニックやヴィーガン食などに目が向いたためだ。結果、売れ筋商品にも変化が見られているという。
1つ目は、グラノーラバーやオートミールなど、ヘルシーで食事として取り入れることのできるアイテムが伸びている点だ。さらに、自宅でトレーニングなどを行う人が増えたことを受け、タンパク質を多く含むパン「オーガニックプロテインブロート」(1個250g/税込497円)が注目を集めている。有機ライ麦を使用したドイツパンで、パンでありながら100g当たり20.1gという高いタンパク質含有量を誇る。インスタグラム(Instagram)上では、この商品を使用したアレンジレシピがユーザーによって多数公開されているという。
2つ目は、手軽なオーガニック、ヴィーガン食が人気を集めている点だ。たとえば、最近ビオセボンではヴィーガン向けのインスタント麺「ヴィーガンヌードル」(税込246円)がよく売れているという。ほかにも、魚などの味付けがこれ一つで完了するミックススパイスや、いわゆる「チューブにんにく」などのチューブ調味料に該当する、「有機ガーリックペースト」「有機ブラックタプナード」(いずれも税込756円)なども人気だ。手軽に、より便利にオーガニックやヴィーガン食を取り入れる最近の傾向に合わせたラインアップは、新規顧客の獲得に一役買っている。
オーガニック野菜、計り売りも充実
ビオセボンの目玉ともいえる、オーガニック野菜やバルク(計り売り)コーナーも充実している。
青果売場には定番野菜に加え、旬を迎えつつあるさまざまな品種のトマトや、比較的珍しい皮付きのヤングコーン、沖縄県産の小ぶりのパイナップルなどが並んだ。もちろんいずれもオーガニックで、全国から取り寄せた野菜が種類豊富に取り揃えられている。
62SKUを揃えたバルクコーナーではナッツやドライフルーツなどを20gから購入できる(オンラインストアでは100g単位で購入可能)。最近の売れ筋はポップコーンで、通常タイプのほかに、加熱するとマッシュルームのように丸い形に仕上がる「ポップコーン(マッシュ)」(10g当たり税込17円)も用意。自宅で好きな味付けに調理できることが人気の秘訣だ。
7月には、東京都品川区に「ビオセボン 武蔵小山店」を出店予定のビオセボン。オンラインショップの出だしも極めて好調だといい、今後の動向に注目が集まる。