4月5日に「大阪ベイタワー店」(大阪府大阪市)を出店し、早くも関西4店舗体制となったロピア(神奈川県/高木勇輔代表)。今春には奈良県、茨城県に進出の計画もあり、2021年もロピアの怒涛の出店攻勢が見られそうだ。本稿では、ロピアが21年2月にオープンした「小平店」(東京都小平市:以下、小平店)の売場を解説していく。
調査日:2月24日、3月3、25日 ※本文中の価格はすべて本体価格
注目の総菜売場、米飯を絞り込みか、
レポート前編では、青果・精肉・鮮魚売場をレポートした。後編では、総菜・加工食品・日配などの売場を解説していこう。
ロピアでは、店舗によって総菜の売場づくりや商品構成を変化させている。小平店では平台2台と壁面を使って売場を展開しており、1つ目の平台に揚げ物やいなり寿司など、2つ目にピザや焼鳥、ベーカリーなどを配置する。壁面の冷蔵ケースでは、12のスペースでスイーツやサラダなど、その隣の6尺のスペースでは外部から納品する中華総菜コーナーを展開する。
特徴的だったのは米飯類の扱いを絞り込んでいる点だ。弁当はグループ会社の利恵産業が製造する「塩たれ牛タン弁当」(498円)のみで、米飯類では店内加工の「ロピアのキンカ巻」「クリームチーズキンパ」(各498円)の販売に力を入れているようだ。揚げ物では「塩とんかつ」(300円)、「ロースカツ」「ロピア特製チキンカツ」(各298円)、「自社製肉団子」(5個380円)など定番商品を充実させている。
日替わりピザを販売!ベーカリーも充実
総菜売場の“顔”とも言える存在のピザは日替わりで商品を変えており、調査日は「シーフードピザ」(999円)、「サーモンといろどり野菜ピザ」(680円)など8品目を揃える。焼鶏コーナーはフード付き什器で「ほんじり」「鶏もも」など15種79円で提供する。什器に掲げられたボードには「一度も冷凍されていない」「店内で焼きあげ」と記されており、商品の特長をアピール。ベーカリーでは、「塩バターパン」(3個250円)、「ミニパンショコラ」(8個298円)などを販売する。
デザートでは、「黄桃とナタデココの苺ミルクゼリー」(500円)、「クリーミー杏仁豆腐」(200円)など利恵産業の商品をラインアップ。サラダも「お婆さんのポテトサラダ(大)」(398円)など利恵産業商品中心の品揃えとなっている。
従来の総菜売場とは異なり、小平店では店内加工商品を絞り込むことで、コロナ禍にあわせた機能的な売場にチャレンジしているのが窺える。利益をより確保できる試みであるのかもしれない。
冷凍食品6割引! 衝撃の安さ
続いて洋日配売場を見ていこう。ロピアでは、洋日配を「乳製品」「チルド飲料」「デザート」「アイスクリーム・冷凍食品」と大きく4つのカテゴリーで括り、それぞれ売場を展開する。
「乳製品」は32尺のスペースで、商品構成は売れ筋ナショナルブランドをベースとしているようだ。調査日は、開店記念商品として、「雪印北海道100・さけるチーズ」を3個299円で提供する。「チルド飲料」は40尺で、牛乳では「フルヤ乳業・酪農牛乳(無調整牛乳)」(1 ℓ155円)、「北海道乳業・北海道函館直送3.7牛乳(無調整牛乳)」(1ℓ169円)をメーンに販売していた。
「デザート」は60尺のスペースを割いており、ヨーグルトコーナーでは「明治・ブルガリヨーグルト400g」(129円)、「森永乳業・ビヒダスヨーグルト400g」(119円)など売れ筋NBのほか、ロピアオリジナルの「生乳100%プレーンヨーグルト 400g」(149円)などもラインアップする。
「冷凍食品・アイスクリーム」では開店時恒例の冷凍食品6割引、アイスクリーム5割引セールを実施しており、売場は品薄状態でスタッフが補充に追われていた。「5割引」はほかのチェーンでも見かけることがあるが、「6割引」となるとやはりインパクトは抜群であるようだ。アイスクリームでは「ハーゲンダッツミニカップ」を各種159円(一家族4個限定)とほかのチェーンでは考えられない価格で提供していた。そのほか個食タイプも70円、マルチパックも150円と競合を圧倒する安さで販売。こうような価格政策を日常的に取られると、競合店は対抗できないだろう。
取り扱い商品も多様で、冷凍食品では売れ筋NBのほか、「マルハニチロ・大粒かきフライ広島産800g」(「ニッスイ・Rクリーミーコロッケ(かに入り)15個」など業務用商品の扱いもある。オリジナル商品としては、「たこ焼50個」(399円)、「クラムチャウダー」「煮込みハンバーグ」(各299円)のほか、「4種のチーズピザ360g」(199円)などグループの輸入商社ユーラスの輸入商品もラインアップする。
「本場の味」を提案する新コーナー
和日配では、店舗正面から見て右サイドで売場を展開する。8尺の納豆コーナーは25SKUの扱いで、調査日は「タカノフーズ・極小粒50g×3」(55円) などこちらでも開店記念セールを実施していた。
漬物では、「贅沢な信州野沢菜漬 信州長和町和田の野沢菜」を題したコーナーを設け、「クラシックスモーク野沢菜50g」(199円)、「野沢菜醤油味美ヶ原200g」(199円)など長野県のローカルメーカー「竹内農産」の商品15品目を揃える。隣接する「韓国食材コーナー」も新設と思われ、「CJ Foods・カクテキ500g」(599円)など韓国の食品メーカーの商品を中心に16品目を揃える。“本場”の味を提案するという、ロピアの新たな試みであるのかもしれない。
酒類は3尺棚29本とゴンドラエンド、催事スペースを使って売場を展開。ビール系飲料では、「アサヒビール・スーパードライ350m ℓ 6缶」(950円)を価格訴求するほか、ケース売りに力を入れている。缶チューハイは一部を除いてどの商品も91~95円で提供しており、多くのお客が手にとっていた。
「商品価値」こそロピアの強さ?!
筆者は1店を除いてロピアの全店舗を訪ねているが、売場を拝見すると常に新たな発見がある。ロピアの店舗を訪れた多くの人は「安い」というイメージを受けるかもしれないが、売場をじっくりと見ていると、こだわり商品を数多く扱っていることに気づかされる。
たとえば加工食品売場では、7段の3尺棚を1本使って塩コーナーを展開しており、。下段では「クレージーソルト」(269g499円)、上段では「マルドン・シーソルト」(125g259円、4kg2999円)、「にとん屋・にんにく塩」(190g399円)など、こだわり商品24品目を差し込んでいる。そのほか、ピクルス、ごま油などのコーナーでもこだわり商品を導入していた。「安さ」だけではない「豊かさ」を持ち合わせているのもロピアの特徴だ。
ロピアのベースにあるのは「商品価値」であり、これを売場全体で表現しているのが同社の強さの本質であると筆者は考えている。
もう1つ例を挙げると、鮮魚売場で扱う大容量の「1000円パック」シリーズ。日本人の家族構成や消費行動を考えると、こうした商品は定着させるのが難しいと考えてしまいがちだが、お客の反応や売場の様子を見ている限り、実態はそうではないかもしれない。
こうした常識を打ち破る“仕掛け”が、ロピアの売場には散りばめられている。また、売場を観察していると、小規模なローカルメーカーが製造する、価値のある商品を積極的に導入しているのもわかる。ロピアの強さを理解するには、商品をじっくりと見ていくことをおすすめしたい。
(店舗概要)
所在地 東京都小平市上水本町4-22-1
開店日 2021年2月11日
売場面積 約570坪(歩測)
営業時間 9:00~18:00
駐車場 245台