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独自のスタイルがほぼ確立? ロピア府中フレスポ店レポート!

2020年9月に関西進出を果たし、業界中の注目を集めたロピア(神奈川県/高木勇輔社長)。2021年もその勢いは止まらないと見られ、2月には「小平店」(東京都小平市)の出店がすでに決まっている。昨年に引き続き、今年も“ロピアの年”となるのか。2020年12月7日にオープンした、本稿公開時点ではロピアの最新店となる「府中フレスポ店」(東京都府中市)の売場を解説していきたい。
(調査日2020年12月23、28日、2021年1月6日 ※本文中の価格はすべて本体価格)

ロピア府中フレスポ店の外観

“売れすぎ”が課題の総菜売場

 レポート前編では、青果・精肉・鮮魚売場をレポートした。後編では、総菜・加工食品・日配などの売場を解説していこう。

 これまでロピアの全店舗を拝見してきた筆者が、ロピア全部門で最も激しく変化していると感じるのが総菜である。個店経営を標榜するロピアでは、各店舗で商品構成や販促が異なる。比較的新しい店舗では、売場を狭くし、扱い商品を絞り、回転率を重視しているようだ。

 その理由はおそらく、弁当や人気商品のピザなどの製造が間に合わないためだと思われる。グループ会社である利恵産業の商品も導入しているが、販売量がすさまじく、供給が追いついていないのである。新店ともなれば、総菜は常時品薄状態であり、調査日も平日であるにもかかわらず、ピザは“補充、即完売”状態であった。

 商品を見ていくと、人気商品のピザは、「チーズピザ」(399円)、「マルゲリータ」「テリヤキチキンピザ」(500円)を販売。「ローストチキン5個」(1450円)、「焼鶏盛合わせ10本」(499円)、「ファミリーサイズガーリックライスチキン」「ロースビーフパエリア」(各999円)など、調査日はクリスマス前だったこともあってか、関連商品を豊富に揃えていた。

 米飯では、韓国の巻寿司「キンパ」を大量に並べており、多くのお客が手にとっていた。既存の中・大型店で見られる、中原産業運営の中華総菜コーナー「上海厨房」も導入しており、弁当や飲茶、中華サラダ、デザートなどを提供していた。冷蔵ケースでは、サラダやデザート、和総菜などを販売。利恵産業と外注商品を中心のラインアップとなっている。

対抗不可能? 日配では強烈な価格訴求!

 一般的な食品スーパーでは、和日配と洋日配の売場を離れて配置することが多いが、ロピアは壁面で連続させて売場を展開するケースが多く、府中フレスポ店でも同様のレイアウトを採用している。

 和日配は正面入口から見て店舗左サイドの壁面80尺のスペースで、「納豆」「豆腐」「練物」「漬物」「佃煮」「麺類」を配置。売れ筋商品をベースに、オリジナル商品を差し込んでいる。

 「納豆」では、「タカノフーズ・極小粒3P」を59円で提供する。この価格はほかのチェーンは太刀打ちできないだろう。「豆腐」は「ハギワラ・豆腐350g2丁」(99円)をメーンに、「さとの雪」などこだわり商品も品揃えする。和日配は全体的にコンパクトにまとめた無難な対応であるという印象だ。

ロピア府中フレスポ店の売場レイアウト(筆者作成)

 洋日配は、「牛乳」「果汁飲料」などに24尺、ヨーグルトは20尺、「スイーツ」「プリン」「ゼリー」「乳飲料」などに28尺、常温では「プチドリンク」「豆乳」に12尺、それぞれスペースを割いている。牛乳は、「近藤乳業・最上の郷牛乳1 ℓ」(155円)と「北海道乳業・北海道函館直送牛乳(無調整牛乳)1 ℓ」(169円)をメーンに扱う。ヨーグルトは、「明治・ブルガリアヨーグルト400g」(118円)、「森永乳業・ビヒダスヨーグルト400g」(99円)などナショナルブランドを強烈な安さで販売。「フルヤ乳業・プレーンヨーグルト400g」は4個379円のバンドル販売で提供する。

 日配は購入頻度が高く、商品回転率も高いので、利益率は低くとも販売量で利益を確保する手法である。府中フレスポ店における売れ筋NBの価格は、ほかのチェーンの特売価格より安く、対抗するのはほぼ不可能だろう。競合するチェーンにとっては、厳しい現実であると言えよう。

グループ会社の商品が充実!

 冷凍食品は、標準的な商品構成と配置で、平台とリーチイン合計156尺のスペースで売場を展開。扱いアイテム数は「冷凍野菜」が49SKU、「弁当類」が56SKU、「麺・パスタ」が37SKU、「米飯」が23SKU、「デザート・ドリア」が23SKU、「中華系」が22SKU、「唐揚げ・肉加工品」が28SKUの合計238SKUを揃える。

 「中華系」、「唐揚げ、肉加工品」は業務用の大容量商品の扱いもあり、冷凍野菜はグループの商社ユーラスが輸入した商品も差し込んでいる。調査時はオープン記念セール期間中で、12月31日までの期間限定で6割引セールを実施していた。アイスクリームは52尺のスペースで、個食タイプの商品は12月31日まで全品5割引セールで提供。「ハーゲンダッツ・ミニカップ」は159円で販売していた。

グループ会社のユーラスが輸入したオリジナルの菓子も販売する(写真上がトリュフチョコ、下がチョコレートチップス)

 加工食品・菓子・酒は、売場中央のゴンドラ11列で売場を展開。加工食品で特筆すべきは、オリジナル商品の豊富さだ。売れ筋NB中心のラインアップに、グループの醸造メーカー丸越醸造の酢や醤油、ポン酢などを差し込んでいる。同じくグループ会社であるユーラスのオリーブオイルやパスタといった輸入食材、あるいは国産メーカーとの開発商品なども揃える。

 塩やスパイスなどでは、国産品・輸入品のこだわり商品を豊富に揃えるなど、全体的に「質感」も意識された商品構成になっている点にも注目したい。品揃えを売れ筋に絞ったディスカウントストア的なスタイルではないのである。こうしたメーカー色の薄さもロピア独自スタイルと言える。

 菓子売場では、オリジナル商品の扱い少なく、大袋菓子の販売には力を入れている。大袋菓子は42SKUの扱いで、調査時はオープン記念で3袋500円の特売価格(個数限定)で提供していた。また、輸入菓子では、トルコ、フランス、スペイン、ウクライナなどの商品を扱う。

 酒類は売れ筋に絞った堅実な商品構成ではあるものの、ワインコーナーでユーラスの直輸入ワインを豊富に揃えるなどオリジナル商品も一部扱う。

独自のスタイルがほぼ確立か

 府中フレスポ店だけの話ではないが、混雑時のロピアの店舗にいると、レジ待ち行列が店舗奥側の主通路まで続く光景が見られる。観察していると、レジで待っている時間と、店内で買物している時間がほぼ同じであるようだ。これは1970~80年代の繁盛店でよく見られた光景だが、いまでは見かけることは少なくなった。しかしロピアではどの店もこのような混雑ぶりが日常茶飯事であり、競合チェーンにとっては驚異だろう。

 12月上旬、筆者は関西にオープンした新店2店舗を拝見した。両店とも売場には緊張感が漂っており、ロピアの気負いさが伝わってくるような店だった。それと比較すると、府中フレスポ店は混雑こそしているものの、店内には落ち着いた雰囲気があり、“余裕”のようなものを感じられた。お客の気質、買物行動が首都圏と関西では異なるようだ。ロピアも総店舗が50店を越え、店舗のスタイルがほぼ確立された影響もあるのだろう。店内で企業文化が徐々に育ってきているのかもしれない。


(店舗概要)
開店日 2020年12月7日
所在地 東京都府中市西原町1-6-2
アクセス JR武蔵野線「北府中」駅より徒歩約10分
店舗面積 約530坪(歩測)
店舗構造 鉄筋4階建て(1、2階:店舗、3、4階:駐車場)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 353台 
駐輪台数 300台
レジ台数 11台(セルフ精算機22台)