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関西進出の直前に出店!関東の最新店「ロピア田無店」をレポート

ロピア(神奈川県/高木勇輔代表)は9月18日、東京都西東京市に「ロピア田無店(以下、田無店)」をオープンした。9月29日には「ロピア寝屋川島忠ホームズ店」(大阪府寝屋川市)を出店し、関西進出を果たした同社(同店の売場レポート、周辺競合店の対策状況は「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の11月1日に掲載予定)。関東圏の最新店ではどのような売場づくりをしているのだろうか。
(調査日:9月20、25日、本文中の価格はすべて本体価格)

ロピア田無店の外観

ホームセンターの2階部分に出店

 西東京市は、多摩地区東部に位置する。2001年に旧・田無市と旧・保谷市が合併して誕生した同市の人口は約20万人で、都心のベッドタウンとして発展してきた。田無店は、東京都心と多摩地区を結ぶ幹線道路「新青梅街道」沿いにあり、近隣には「ニトリ」「イエローハット」などが店を構える。近隣の自社店舗としては約6km離れて「ロピア東村山店」がある。一方、競合店としては「イオン東久留米店」「マルエツ田無西原店」などがある。

 店舗は今年9月にオープンしたホームセンター「コーナン西東京田無店」の2階にあり、売場面積は約470坪(歩測)。昨年2月に開店した「ロピア平井島忠ホームズ店」(東京都江戸川区)とほぼ同じサイズで、売場配置も類似している。ロピアにとって、このスタイルは売場面積500坪前後で売上・利益を十分に確保可能な、「ホームセンター仕様都市型フォーマット」であるのかもしれない。

 部門ごとに売場をみていこう。導入部青果売場は、入口付近に約15坪のスペースで野菜・果実の催事コーナーを展開する。開店から3日目に店舗を訪ねると、「ピオーネ」「シャインマスカット」(1パック699円)を2パック1000円で販売しており、多くのお客が2個、4個と買物カゴに入れていた。壁面はリンゴや柿などの旬の果実を配置する。

 主通路では、入口から見て右側の壁面60尺、左側48尺で売場を展開。通路幅はわずか約9尺で、買物カートが2台並ぶと通り抜けるのが難しいほど狭く、調査時は青果売場を通過するのに時間がかかった。

 壁面冷蔵ケースではトマトやキュウリ、ナス、キャベツといった売れ筋を超低価格で提供する。左サイドでも常温ケースでキウイ、バナナ、アボガドなど、冷蔵ケースではレタス、ブロッコリー、白菜などを並べており、いずれも思わず立ち止まってしまう安さで提供している。ロピアの既存店の青果は、作業場と売場が一体としている売場が多いが、この店は作業場が遠く補充に苦労している様子だった。

鶏肉コーナーは壁面で展開、平台はテーマ別売場

 青果売場を抜けると精肉売場が広がる。青果売場との“つなぎ”は加工肉コーナーで、主通路両サイドで売場を展開。調査日は開店から間もないこともあってか、「粗挽きウインナー3P」(798円)、「薫煙モモハム」(298円)などロピアオリジナルの自家製加工肉の試食販売を実施するなど、味の認知に力を入れていた。

 続く豚肉コーナーは、20尺で展開。「千葉県産三元豚」、「神奈川県産ロピア厳選ポーク」、「スペイン産イベリコ豚」などセンターで加工した商品がメーンとなっている。調査日は、「国産豚切り落とし特大パック」(100g69円)を平台のエンドで訴求していた。

 ロピアの鶏肉コーナーは、平台の冷蔵ケースで展開するパターンが多いが、田無店は壁面の多段ケース20尺で、挽肉と連動させるかたちで売場をつくっている。調査日は、「岩手県ハーブ鶏モモ肉5枚入り」(100g59円)を平台エンドで強くアピールしていた。

 入口から見て正面の壁面では、冷蔵ケースで28尺の牛肉コーナーを展開する。「栃木県産黒毛和牛牛モモステーキ5等級」(100g698円)、4等級は北海道産を揃えている。ロピア自社製「みなもと牛」は、栃木県産、群馬県産、千葉県産、北海道産をそれぞれラインアップする。輸入牛はオーストラリア産「鳴尾牧場」、アメリカ産[プレミアムアンガス牛」を品揃えする。

精肉売場で販売していた「牛タン焼肉用(米国産)」。レモン風味の味付がされており、焼くだけで簡単に本格的な焼肉メニューを楽しむことができる商品だ

 主通路に配した平台冷蔵ケースでは、牛肉・豚肉の価格訴求商品を試食販売を行いながら売り込んでいる。同じ平場では、「ホルモン屋」「ハラミ道場」で記したサインを掲げ、「牛タン焼肉用」などを販売する。

 隣の平場では「親鶏1羽」(598円)、「丸鶏1羽」(398円)など冷凍鶏肉を豊富に揃える。ほかにも「ラムロール」「ラムしゃぶしゃぶ用」「馬刺」「合鴨ロース」など各種冷凍肉を充実させている。その隣の平場では冷凍肉の「メガ盛り」コーナーとしており、アメリカ産の「穀物肥育牛バラスライス」(100g99円)、「ニュージランドラムスライス」(100g168円)などを扱う。鶏肉コーナーを壁面に配置し、平場はテーマ別にコーナー展開するという、ほかの既存店ではみられない新たな試みが行われているようだ。

スタイルはほぼ確立か、独自性あふれる鮮魚売場

 精肉から続く鮮魚売場は、入口から見て店舗奥側の壁面と平台を使って売場を展開する。

 壁面の24尺のスペースでは、「本まぐろ中トロ刺身用(マルタ産)」(100g500円)、「本まぐろ中トロ(アイスランド産)」(100g790円)、「養殖鹿児島産生本まぐろ(ブーメラン)」(100g500円)などを販売する。「アトランティクサーモン」「シマアジ」「ぶり」などの刺身用サクのほか、「ウニ」「いくら醤油つけ」「サーモン」「真たこ」などを揃えており、このラインアップは全店でほぼ統一していると思われる。

ロピア田無店の売場レイアウト

 平台では、各エンドに試食販売用のスペースを設けており、調査日は開店超目玉商品として、「かねふく・辛子明太子」「刺身用ホタテ貝」などを試食で提供していた。試食の効果は抜群で、多くのお客が商品を買物カゴに入れていた。

 総菜売場に最も近い平台では、今やロピアの看板商品となった寿司コーナーを展開する。「桔梗27貫」(2800円)、「椿18貫」(1980円)、「松9貫」(990円)などおなじみの握り寿司のほかにも、「はみだし巻(まぐろ・サーモン)」(790円)、「うに・いくら・カニ丼」(1090円)、「三色丼」「サーモン・いくら丼」(各790円)、「あじ・まぐろ丼」(690円)など巻物、海鮮丼も充実させている。

 「刺身の扱いがない」「大容量で単価が高い」という鮮魚売場のスタイルはロピア独自のものである。ここ数ヵ月の新規出店店舗の売場を見る限り、商品ラインアップはほぼ確立されているようだ。利益を確保できる、鮮魚の商品構成がほぼ完成したのではないだろうか。

 後編では、コロナ対応が注目される総菜のほか、日配、加工食品、菓子、酒類などの売場を解説していきたい。

(店舗概要)
所在地 東京都西東京市西原町4-2-8
開店日 2020年9月18日
売場面積 約470坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 385台