12月4日、ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)が埼玉県本庄市に「ヤオコー本庄中央店」をオープンした。“提案型”の店づくりでお馴染みの同社。最新店ではどのような売場づくりをしているのか。注目の総菜売場を中心にレポートする。
埼玉県89店舗目、全体では164店舗目(ヤオコー単体)の出店となった本庄中央店。埼玉県本庄市の北部、クルマで5分ほど走って利根川を渡れば群馬県伊勢崎市に通じる県境に立地しており、店舗周辺は住宅街が広がる。
ホームセンターのLIXILビバ(埼玉県/渡邉修社長)が運営するショッピングモール「ビバモール本庄中央」内にある店舗で、ヤオコーが同モール内にテナント出店した格好だ。ヤオコー本庄中央店の売場面積は約600坪、SKU数は1万2800とどちらも同社の標準並みで、基本的な売場配置も既存のスタイルを踏襲している。
商圏とする1km圏内には、約5000世帯/約1万1000人が居住する。商圏内の人口が減少傾向にあるため、モールの集客力を生かし、広域からお客を呼び込みたい考えだ。
足元は非常に“薄い”商圏であるものの、競争は激しい。ヤオコーと同じく埼玉を地盤とするベルク(埼玉県/大島孝之社長)を筆頭に、店舗から半径3km圏内に食品スーパー8店が店を構えているほか、総合スーパーの「アピタ本庄店」もある。なお、この「アピタ本庄店」は近日中にドン・キホーテ(東京都/吉田直樹社長)とのダブルネーム店舗に転換する予定で、競争は今後一層激化してくと見られる。
自社店舗としては、約3km離れて「ヤオコー上里店」、約6km離れて「ヤオコー岡部店」がある。ヤオコーとしては、本庄中央店の出店でこれら近隣店舗による埼玉県北部のドミナントをより強固なものとしたい考えだ。
最新店ということで、新商品もいくつか見られた本庄中央店。写真とともに売場を見ていこう。
店舗メーン入口を入るとまず目に飛び込んでくるのが、色とりどりの果実だ。最前面に旬の果実を配置する、ヤオコー定番の青果売場で、取材時は1列めの平台でリンゴ、2列めにミカンを大量に並べていた。来店したお客が瞬間的に旬を感じられる売場となっている。
主通路を真っ直ぐ進んだコーナーで展開するのは、鮮魚売場だ。こちらも新店・既存店ではお馴染みのオープンキッチンを採用し、開放感・ライブ感のある売場としている。近海魚の丸物や各種切り身のほか、冷凍魚の売り込みにも力を入れており、店内で最終加工した冷凍の西京漬けを平台に大量に陳列している。
鮮魚から続いて店舗奥側壁面では精肉売場を展開。商圏内に多い40~49歳の3~4人世帯の需要を勘案し、大容量商品を揃えるほか、差別化商品として馬刺しを充実させている。
入口から見て、店舗左奥のコーナーでは、こちらもヤオコーのお馴染みであるワイン&チーズの関連販売を実施する。
多くの食品スーパー企業がベンチマークするヤオコーの総菜売場。本庄中央店では、新たな試みとして魚総菜を集めて「漁火(いさりび)」と銘打ちコーナー展開する。
「パタゴニア湖塩」を使用した「大鉢マグロカマ焼き」や高級魚メロカマを48時間漬け込んだ「メロカマ西京焼」など調理方法や食材にこだわった商品が多数見られた。
新店や改装で導入が進む鉄板焼コーナーも設けている。調理場がガラス張りとなっており、調理の様子を見ることができる。卵焼きやお好み焼き、焼きそばなどを提供する。
和総菜コーナーでは、埼玉県東松山市の「デリカ・生鮮センター」で製造した「八方だし」を使った煮物を販売する。近年、人手不足を背景に和総菜をアウトパック化するチェーンは多いが、ヤオコーではセンターでダシを製造をするものの最終加工は店内で行うなど、センター加工とインストア製造を使い分けることでおいしさを追求しているという。
寿司コーナーでは、「未来のカタチ からだを想う寿司の新提案」と掲げ、糖質オフのシャリを使用した各種寿司を販売する。十六穀米とこんにゃくを使うことで、従来のものより糖質を約20%カット(同社比)したという。「ローストビーフ握りと生春巻きロール」「こんこん恋なり」など4SKUを販売する。
ヤオコーによれば、本庄中央店の総菜部門のアイテム数は330で、売上高構成比(初年度)では17%を見込んでいるという。「今期は旗艦店(の出店)はない」と広報担当者は控えめだが、旗艦店出店がなくてもヤオコーの総菜部門は絶えず新たなチャレンジや細かい改良に取り組んでいる。最近はデリカ・生鮮センターの活用領域が広がっているとのことで、今後は「省力化」と「おいしさ」を両立させた商品が続々と投入されると見られる。進化を続けるヤオコーの総菜から目が離せない。
(店舗概要)
店名 ヤオコー本庄中央店
開店日 2019年12月4日
所在地 〒367-0053 埼玉県本庄市中央2-62-1
営業時間 9:00~22:00
店長 宮川誠
店舗面積 1976.68㎡(597坪)
年商目標 15億円(初年度)
駐車台数 1509台(モール全体)
従業員数 正社員19人、パートナー・ヘルパー・アルバイト120人(延べ人数)
イートイン席数 16席