有力チェーンひしめく激戦区に出店!ロピア新店「兵庫三田店」の競合対策とは

矢野清嗣
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クラフトビールは圧巻の品揃え!

 酒類はスペースを割いて売場を展開する。レジ横約70尺のスペースはビール系飲料をまとめている。注目は京都ヨドバシ店でも導入した冷蔵ケース24尺「クラフトビール」コーナーで、「六甲ビール」「明石ブルワリー」など地場商品を含めた瓶ビール27品目を揃える。缶は国産と米国産をベースのラインナップとなっている。全体的に価格は多少高めだが、これだけの品揃えの店舗は専門店含めて近隣にはないだろう。

 ワインは約11坪(歩測)のスペースで、売場を展開。価格は「よりどり2本1500円」や299円コーナーなど幅広く、とくに500円~1000円の価格帯を充実させているようだ。国産ワインコーナーでは、上段に「神戸ワイン」「河内ワイン」「丹波ワイン」など1500円前後の地場ワインを揃えるなど、幅を持たせた商品構成となっている。

 続いて菓子売場。京都ヨドバシ店と神戸岩岡店は菓子売場が変則的で、やや落ち着かない印象だったが、三田店はゴンドラゾーン20尺6本でゾーン状に売場を展開している。「大袋菓子」は6段什器60尺のスペースで、115品目を扱う。「ロッテ・チョコパイ9個」(239円)、「不二家・カントリーマアムバニラ&ココア20枚」(184円)、「ロッテ・パイの実133g」(184円)など、一律の価格ではなく、価格が個々で異なるのも新たな試みだろうか。陳列料も多く、欠品の心配もなさそうだが、価格訴求がやや迫力に欠けるように感じだ。

 神戸岩岡店で、大規模な日用雑貨売場を導入したロピア。神戸岩岡店では、キッチン用品・雑貨のほかヘアケア、オーラルケア、ペットフード、洗濯用品など品揃えに幅を持たせたが、三田店ではレジ前のゴンドラ5列のスペースで品揃えはキッチン雑貨に絞っているようだ。売場で目を引いたのは「アイリスオーヤマ」の「前開き冷蔵庫60L」(1万9999円)をはじめ「炊飯器」「プレート」などのキッチン家電である。日用雑貨を強化するチェーンはあるものの、家電までラインナップするのはあまりほかのチェーンには見られない試みだ。

開店時に見られた“落ち着き”

 今回の調査は、開店して初めて迎える週末に店舗を訪ねた。筆者はこれまで何度もロピアの新店開店時に店舗を訪れているが、それらと比較すると三田店の混雑ぶりはやや落ち着いているような印象を受けた。開店前からお客は並んでいるものの入場制限が実施されるほどではなく、店舗奥側主通路に達するほどのレジ待ち行列もなかった。

 ロピアもこうした状況を想定していたかどうかは不明だが、調査時は今年1月開業の神戸岩岡店のオープン時に見られたような超特売はなく、菓子の人気商品「カルビー・じゃがりこ12個入」(699円)、「森永乳業・チョコモナコジャンボ10個入」(500円)などはケース特売を実施するなど、販促スタイルに変化が見られた。前述のとおり大袋菓子も均一価格ではなく、個別対応型の販促を行うなど、非生鮮の販促の考え方が変わってきているようだ。

 ロピアの販促に慎重さが見られた背景には、周辺の競合状況もあるのかもしれない。ロピアが入る近隣型ショッピングセンター内には「業務スーパー三田けやき台店」が至近にあるほか、道路を挟んだ向かいにはショッピングモールの「イオン三田ウッディタウン店」がある。さらに約300m先には「万代三田店」があるなど、三田店周辺は狭いエリアに有力チェーンがひしめく激戦区となっている。そうした事情もあってか、最近のロピア新店の開店時間は10時が多いが、三田店は競合にあわせて9時開店にしているなど、競合対応も見られた。

 今後、店数が増えていく中では、競合は避けられない。足元では原材料高が続き、値上げ圧力も働いている。これまでのような強烈な価格訴求が打ち出しづらくなっている中で、ロピアはどのような価格政策を展開していくのか。この先の新店でも、開店セールの動向に注視してみたい。

(店舗概要入る)
開店日 2022年3月15日
所在地 兵庫県三田市けやき台1-7
営業時間 9:00~19:00
売場面積 980坪(歩測)

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