ダイヤモンド・リテール・カンファレンス2014開催レポート
オムニチャネル・コマースのネクストステージ
注目企業の実践アプローチと成長を支えるIT戦略

競争優位を築くためのオムニチャネル差別化戦略

2014/10/14 16:53

ダイヤモンド リテール・カンファレンス 2014開催レポート

オムニチャネルの潮流
~オムニチャネルで実践すべきIT戦略とは~

既存ITを見直しオムニチャネルに適したデータの一元化を

 

ITの進化に伴い、流通業を取り巻く市場環境は大きく変化している。小売業にとってオムニチャネル化は、もはや避けることができない大きな潮流となっているわけだ。しかし一方では、その流れの中にあってオムニチャネル化の方向性を明確にできないために、他社との差別化に課題を抱える企業が少なくない。オムニチャネルをどのように企業戦略に組み込んで行くか、それはどのようなIT戦略を実践するかということにつながる。オムニチャネルのメリットを業績に反映させるためには、それに対応したITを構築する必要がある。

 

リアルとデジタルがシームレスにつながる時代

 

 スマホの普及速度は、80年代のPC革命の10倍、90年代インターネットブームの2倍と言われている。つまりそれだけ速い速度でデジタル革命が進行し、消費者を取り巻く環境が進化を続けているということだ。2010年頃はリアルチャネルとオンライン革命期と言えたが、デバイスの多様化やセンサーの普及から現在はオムニチャネルの時代と言え、チャネル連携は当たり前となり、今後より一層、ヒトとヒト、モノとモノ、ヒトとモノがオンラインとリアルな社会を超えてつながってくる。そして2020年にはシームレスなリアルとデジタルの時代になるだろう。

 

 スマホやタブレットの使用が一般化し、インターネットに接続する時間も長くなる。さらにウェアラブル端末の登場など、デバイスやメディアはこれからも増大していく。それだけ顧客へコンタクトするルートが増えていくことになり、こうした動きに対応しなければチャンスを逃すことになる。トイレにいる時に、商品を購入するという行動も珍しいものではなくなる。

 

 つまりいつでもインターネットに接続し、様々なメディアに接している状況になるわけだ。

 

 購買行動も変化する。購買と情報収集、リアルとネットという手段の組み合わせで考えれば、雑誌・店舗で調べて店舗で買うという「リアル重視派」、ネットで調べて店舗で買うという「ネット下調べ派」、雑誌・店舗で調べてネットで買う「リアル下調べ派」、ネットで調べてネットで買う「ネット完結派」の4面が戦場。そして消費者の2~ 3割は、情報収集や購買でネットを利用するというオムニ導線にあるとみていいだろう。しかも若年層の人口は減少しており、買ってもらうためには待っているのではなく、積極的にアプローチしていく仕掛けが必要になる。

 

オムニチャネル戦略の方向性を共通認識に

 

 企業にとって、オムニチャネル化をどう進めるのかは大きな課題。日本の場合、チーフ・マーケティング・オフィサーつまりCMOがいてオムニチャネル化を推進しているケースはほとんど存在しない。オムニチャネルと言いつつもECとリアルで戦略も方向性も異なり、資源配分やプロセスもバラバラというケースが多い。これをシームレスに連携していくのに必要なことは、IR・ブランディング・販促からネットとリアルで横断的なCRM、新しい購買導線のための商品情報、在庫供給計画などどこに成功の要素があるかを分析して、それを共通認識にしなければならない。

 

 例えばSPAなどでは製造して店舗に置かれた時から値下げが始まると言っても過言ではない。早く売らなければ利益の最大化が図れない。商品の宣伝も顧客の誘導も、早いタイミングで効果的に行う必要がある。そうした認識を共有しなければならない。実際にそうしたネットとリアルをまたいだ連携を図っている企業は多く、その効果も数字に現れている。

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