イトーヨーカ堂「ファウンドグッド」とファミマ「コンビニエンスウエア」、明暗を分けたのは

小島健輔 (小島ファッションマーケッティング代表)

イトーヨーカ堂(東京都)がアダストリア(東京都)から商品供給を受けて展開するアパレルブランド「FOUND GOOD(ファウンドグッド)」が期待どおりの成果を得られず、立ち上げからわずか2年で終了する。一方、ファミリーマート(東京都)の「コンビニエンスウエア」は立ち上げから4年で130億円を超え、今3〜7月は前年同期比160%超と絶好調に拡大している。食品スーパーとコンビニエンスストア、どちらも食品を主体とする業態に併設した衣料品という点が共通するが、明暗を分けた要因は何だったのだろうか。 文=小島健輔(小島ファッションマーケッティング代表)

イトーヨーカ堂は●月
イトーヨーカ堂は8月、アダストリアから商品供給を受けて展開するアパレルブランド「ファウンドグッド」を2025秋冬シーズンで終了することを発表した

「ファウンドグッド」終了の事情

 「ファウンドグッド」は、直営衣料品からの撤退を発表したイトーヨーカ堂が子育て世代(30〜40代)を取り込むべく、商品企画・調達から売場構築・販促までアダストリアに委託して、2024年2月の「イトーヨーカ堂木場店」などからスタートした注目のプロジェクトだったが、25年の秋冬商品を最後に26年2月で契約を終了する。イトーヨーカ堂の総合量販店に100坪から300坪まで64店に広がったが、期待した成果が得られず、継続を断念する結果となった。

 「ファウンドグッド」は子育て世代の多忙なライフスタイルに焦点を当て、「抜けて着回せる軽快で機能的な日常カジュアル」を追求したが、イトーヨーカ堂の主力顧客であるコンサバなシニア層とは噛み合わず、館の性格もあって子育て世代も期待ほど取り込めず、食品スーパーへの特化を進めるイトーヨーカ堂が見切りを付けた。「ファウンドグッド」の跡はテナントで対応すると見られるが、クロスプラス(愛知県)が商品供給するコンサバミセス対応のPB「ギャローリア」は継続される。

 顧客の高齢化が進んだイトーヨーカ堂衣料品に子育て世代を取り込もうという意欲的な挑戦ではあったが、

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

1 2

記事執筆者

小島健輔 / 小島ファッションマーケッティング 代表

小島ファッションマーケティング代表取締役。洋装店やブティック、衣料スーパーを経営する父母の下で幼少期からアパレルとチェーンストアの世界に馴染み、日米業界の栄枯盛衰を見てきた流通ストラテジスト。マーケティングとマーチャンダイジング、VMDと店舗運営からロジスティクスとOMOまでアパレル流通に精通したアーキテクトである一方、これまで数百の商業施設を検証し、駅ビルやSCの開発やリニューアルにも深く関わってきた。

2019年までアパレルチェーンの経営研究会SPACを主宰して百余社のアパレル企業に関与し、現在も各社の店舗と本部を行き来してコンサルティングに注力している。

著書は『見えるマーチャンダイジング』や『ユニクロ症候群』から近著の『アパレルの終焉と再生』まで十余冊。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態