ユニクロの新ライン、「ユニクロ:C」が天下統一ブランドとなる理由_過去反響シリーズ
見えてきたユニクロ:C
ここまで語ってきたところでいよいよ「ユニクロ:C」がなぜ世界統一ブランドたり得るのか、について話をしたい。
ユニクロが戦っているのは海外市場と日本市場。うち日本市場は7兆円〜10兆円の市場規模で、10〜15%の市場シェア率を占有していることになる。そして、私が知る限り「業界人が判を押したように言う」台詞は、「あれ(ユニクロ)はベーシック。うちはファッションだ。ベーシックだけでは人を満足させられない」というものだ。当時のカシミヤと同じなのである。レディースからはじめたのは、LGBTQなどにも対応できるからだろう。また、ゆったりしたワイドパンツなどをみれば、いままでのコモディティ商品だけでは同社を世界一へは導けず、ブランドポートフォリオを全方位にしたというわけだ。
そして、世界のアパレル市場は、
- ウルトラハイブランド:いわゆるGucci、PRADA、LVHMなど
- 高価格帯ブランド:ユニクロ、ZARA、H&M
- 二次流通品+低価格:中古品、傷物 + g.u. しまむら
- Sheinなど中華デジタルブランド
の4階層になり、なんとユニクロが「高価格ブランド」になるというのが私の読みで、日本の「(今の)中価格帯ブランド」は、これらの4つの隙間をうめるニッチにSNSでリーチするということになる。
ユニクロはいまや世界中の人が知っている、「世界ブランド」へと成長した。そうした中でユニクロは、多くの日本企業が「中価格帯」と呼んでいる領域(世界のアパレル市場でいうところの高価格帯)に、ユニクロ価格で市場にだせばよいことになり、私は「ユニクロ:C」にそれを見るわけだ。
すでにユニクロは、「吉牛と会席料理」問題の解決法は「+J」などで学んでいる。
いよいよ、ユニクロ、そしてユニクロ:C、さらには次なる展開などをもって同社の天下統一を実現する、ということだろうというのが私の見方である。
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プロフィール
河合 拓(経営コンサルタント)
株式会社FRI & Company ltd..代表(2023年8月1日に社名を河合拓コンサルティング株式会社より変更)Arthur D Little, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナーなど、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。最近ではAI企業、金管楽器メーカー、中国企業などのスタートアップ企業のIPO支援などアパレル産業以外にクライアントは広がっている。座右の銘は生涯現役。現在は自費で大学院で経営学の、独学で英語の学び直しを行っている。
著作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送サテライトTV」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議にたびたび出席し産業政策を提出。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
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