「おっ母さん食品館」積極出店、中小スーパーの新たな成長パターンとは
ドラッグストア(DgS)が生鮮強化を図るなか、最近ではDgSの中に食品スーパー(SM)企業がテナント出店する動きが見られる。なかでもDgSへの出店数を増やしているのが三和(千葉県/石原健代表)のSM業態「おっ母さん食品館」だ。同社は専門店事業も展開する生鮮食品の専門性を生かし、DgS内での生鮮売場づくりのノウハウを着実に高めている。どのような店づくりを実践しているか解説する。
DgS一体型店舗で、すでに9店舗を出店
千葉県柏市に本社を置く三和はSM事業以外に、グループに鮮魚専門店や水産加工会社を持つほか、三和本体でも鮮魚、青果専門店事業を手掛ける。SM事業では、千葉県をはじめ、埼玉県、神奈川県、茨城県、東京都に、主に「おっ母さん食品館」という屋号で計14店舗展開する。担当者が市場で直接仕入れる鮮魚をはじめとした生鮮食品の鮮度と安さが特徴で、週末には駐車場の順番待ちがでるほどの集客力の高いSMである。
そんな「おっ母さん食品館」は近年、単独店ではなくDgSとの一体型店舗の出店に力を入れている。2015年10月にオープンした「おっ母さん食品館柏の葉キャンパス店」(千葉県柏市中)はDgS「ウエルシア」と併設しているが、一体型ではなかった。
しかし18年12月、クリエイトエス・ディー(神奈川県/瀧屋幸彦社長:以下、クリエイトSD)のDgS「クリエイト北柏店」とSM「おっ母さん食品館北柏店」の売場が一体化した店舗がオープンした。店舗の上階は複数のクリニックが揃うメディカルプラザという施設構成である。
それ以降、古い店舗を閉鎖しながら、新規出店した店舗はいずれもクリエイトSDの開発物件に「おっ母さん食品館」が入店するかたちで出店を重ねている。DgS「クリエイト」との一体型店舗の数は8店舗に上る。
今回調査したのは、22年9月にオープンし調査時では最新店舗だった「小倉台店」だ(23年12月22日には、DgS一体型店舗9店目となる「柏十余二店」〈千葉県柏市〉をクリエイトSDとともにオープンしている)。
小倉台店は