「@cosmeアワード」で受賞増! ドラッグストアの「PBコスメ」が新たな来店動機に?
より精緻な消費者ニーズの把握が成長の原動力に
PBコスメの進化の背景には、「小売業各社のデータ活用力がある」と風早氏は指摘する。従来のPOSデータに加え、アプリや会員サービス、SNSを通じた生活者の声が多面的に蓄積され、より精緻な顧客理解が実現した。これにより、「どの層が、どんな悩みを、どのタイミングで抱えているか」といった詳細なインサイトを把握できるようになった。風早氏は「今後、小売の持つ顧客情報を基にマーケティングコストを減らしながら、価格と品質に振り分けた商品開発が進んでいくだろう」との見方を示した。
実際、PLAZAスタイルカンパニー(東京都)のPB企画担当の井上知里氏は「『Dunamis』をはじめとした当社のオリジナルブランド商品は、独自の膨大な顧客データを活用し、エリアや世代ごとのリアルな悩みや要望を反映している」と話す。
PBコスメの台頭を支えるもう一つの要因は、現場主導の開発力である。バラエティショップやドラッグストアでは、現場スタッフが直接顧客の悩みや声を吸い上げ、商品企画に反映する体制が確立されつつある。ツルハ(北海道)の化粧品バイヤーである藤田麻央氏は「PB商品の一部は店頭で直接お客さまと接するスタッフが開発に深く関わっている。現場主導だからこそ高いクオリティが実現した商品もある。25年5月時点で美容関連PBの売上は前年比105%を超えている」と話した。
このように、PBコスメがここまで支持を広げた背景には、生活者のリアルな悩みや願望を反映できる機動力と、データを基盤とした高精度な商品企画力がある。PBが「低価格」の枠を超え、「独自の価値」「愛着」「目的買い」を誘発する時代に入ったといえる。
今後は、小売現場で生まれる「本音」のデータと、ブランドごとのオリジナリティがいっそう磨かれることで、PBコスメ同士の競争もさらに激化するだろう。







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