小売業の感染対策は店舗選びに影響するのか?調査から見えてきた、消費者が利用を控える理由とは
衛生管理の徹底と三密を避ける工夫
小売各社は、新型コロナ感染が蔓延してから、即座に感染予防対策を講じた。三密を避ける工夫、非接触を可能にするレジ業務などでのオペレーション、入店の際の除菌などである。
具体的に挙げられるのは、手洗いの励行や作業用の手袋装着などの、従業員の衛生管理の徹底である。また、開店時間を早めて来店ピーク時をずらす、レジ待ちの人の間隔をあけるためのサインの設置、パーテーションの設置やキャッシュレス化の促進、店舗入口での除菌剤の設置なども進めてきた。
さらに進化した取り組みを、これまでDCSオンラインで掲載してきたなかから紹介しよう。
イオンスタイルでは、買物カゴの持ち手を1つずつ自動で持ち上げ、紫外線照射で除菌する装置「ジョキンザウルス」を導入した。買物カゴの衛生管理では、昨年11月オープンの「関西スーパー富田林駅前店」で、抗菌仕様のショッピングカートと買物カゴを導入している。
昨年10月にオープンした「イトーヨーカドー新田店」では、「サニテーションカウンター」を出入口に設け、手洗い場や消毒液、非接触検温システムを設置。さらに、大型モニターを用意し、店内・バックルームで実施している感染防止の取り組みを動画で紹介する。
今年3月末からイトーヨーカドー全店で、レジに会話補助システムを設置。今年4月にオープンしたイトーヨーカドー大和鶴間店では、バーチャルで試着や使用イメージが確認できる「Vミラー」を、婦人・紳士売場、化粧品売場、ランドセル売場などに導入した。これは、“非接触”ニーズに対応すると同時に、時間のかかる浴衣などの試着を手軽にし、多数試着できるようにする目的もある。
ユニークな取り組みとして、昨年11月にオープンした「スーパーアークス矢巾店」では、 冷凍ショーケースに、扉を開ける際に手で触れずに開けることができる特殊な取っ手を導入した。コロナ禍の消費者の不安解消のために、地元企業が開発したものだという。
衛生管理と三密回避は、今後のニューノーマルなオペレーションとして、常態化していくことは間違いない。そのためにはちょっとした工夫で、お客にロイヤルティを与えることが十分に可能である。