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フルハーネス型義務化への変換期限が迫る墜落制止用器具、有効に活用したい買い替え補助金

ハーネスのイメージ
2019年の法改正により、従来から使用されてきた安全帯の規格や使用要件が変更され、その猶予期間が22年1月1日に迫っている。 i-stock/batuhan toker

2019年の法改正により、従来から使用されてきた安全帯の規格や使用要件が変更され、その猶予期間が22年1月1日に迫っている。作業条件によってフルハーネス型安全帯の使用が義務づけられるため、器具の買い替えが必要になる。この買い替えに当たっては、補助金が支給される支援制度があるため、これを有効に活用していただきたい。

高さ6・75mを超える高所作業ではフルハーネスが義務化

 建設現場など高所作業で使用されてきた「安全帯」。作業者の墜落を防止することを目的に使用されてきた。

 安全帯には大きく分けて「フルハーネス型」と「胴ベルト型」の2種類がある。これについて厚生労働省は、労働安全衛生法施行令(安衛法)と労働安全衛生規則(安衛則)の一部を改正。2019年2月1日に施行されている。

 ここでは事業者向けに「墜落による危険のおそれに応じた性能を有する墜落制止用器具(要求性能墜落制止用器具)を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。」と規定された。

 今回の改正では、墜落制止用器具は、胴体全体を支持するフルハーネス型を基本とし、安全な作業床を設けることが困難な場合、高さ6.75mを超える作業での着用を義務化。墜落事故の多い建設業では、5mを超える作業でフルハーネスを推奨。規定の高さ6.75m以下では、引き続き「胴ベルト型」の使用が認められている。

 使用前には、着用者の体重および装備品の質量合計に耐えられる製品選定が必要になった。100㎏以下と130㎏以下の2種類のラベルがあるので必ず注意したい。

 いずれも、猶予期間として、19年8月1日以前に製造されたものは、22年1月1日までは高さにかかわらず使用できるが、2日からは規定どおりの使用以外は禁じられることになる。「フルハーネス型」への切り替え期限が迫っている。

フルハーネス型への買い替え経費 支援制度に注目

 ホームセンターの売場でも、早くからフルハーネス義務化をにらんだMD(商品政策)が展開されてきた。最近の新規購入に当たっては、あらかじめ新規格に適合した製品が選定されているが、現在使用している器具を買い替える場合、厚生労働省の支援事業による補助金が受けられる場合があることを知っておきたい。1本当たりの上限は1万円で、同一申請者当たりの上限は30万円。

 墜落制止用器具の新規格に適合していない既存の安全帯から、構造規格を上回る「フルハーネス型安全帯」への買い替えのほか、構造規格を上回る追加安全措置などの経費が支援の対象となる。

 また申請ができる事業者は、労災保険に加入している幅広い業種に及んでいるが、基本的には小売店から器具を購入するケースが多い、中小・零細の事業者を意識した制度となっている。詳細は申請を受け付けている建設業労働災害防止協会(建災防)のホームページで紹介されている。申請は同ホームページからWEB登録し、返信されたメールに表示された登録番号を記入した申請書類一式を郵送するかたちで行う。ただし、申請額が20万円以下の場合は、直接申請するのではなく、フルハーネス型安全帯や安全帯の取り扱い実績を持つ、登録された全国約420店舗の「支援小売店」が、代行して申請する方式をとる。

 登録は5月14日(金)から開始されており、7月15日(木)まで。申請額が予算規模を超える場合は、事業者の規模や作業条件などを基準に加点制度による審査を行い、加点合計の高い申請から交付される。加点基準は詳細に決められているが、雇用労働者数の少ない事業者は高い加点が受けられる仕組みだ。

 なお注意したいのは、補助金は交付決定後に購入する場合にのみ受けられるということ。認可前の購入や、すでに購入済みの場合は対象にならない。さまざまな条件はあるものの、同協会で確認し、受けられる補助金は着実に活用していただきたい。

フルハーネス型への買い替え補助金の申請に必要な書類一覧