スーパーの総菜からあげ最前線を直撃レポート!=連載:深堀りすれば見えてくる「からあげ」
日本生まれで日本育ち純和赤鶏のおいしさを生かす
強化カテゴリーを活性化させ、独自性も発揮できる総菜からあげを実現させるために、中島氏らが着目したのが純和赤鶏だ。純和赤鶏とは、基礎鶏から育種改良した純国産鶏種同士を交配させて生まれた鶏種のこと。そもそも国内で流通する鶏肉の中で、純国産鶏種同士をかけあわせた鶏種はわずか1%程度であり、純和赤鶏はその1つ。当然、希少価値が高く、コストもかかる。
だが、日本人がおいしいと感じる肉質に仕上げているだけに、これ以上の素材は見当たらなかった。なにより同社の畜産部では以前から純和赤鶏を扱っており、お客からの認知度も高いため、中島氏らは総菜からあげの素材として使うことを決めた。昨今の健康志向に配慮し、選んだのは鶏ムネ肉だ。繊維が細かく、柔らかな肉質ゆえ、そのおいしさを最大限に生かすために、下味は塩麹を使ってうまみを引き出した。さらに、1個当たり約40gの大粒サイズに仕上げた一方、衣は薄衣に。こうすることでサクッと歯ごたえがあり、肉汁がジューシーなからあげをつくることに成功した。
「チェーンストアの課題である標準化については試行錯誤の連続であり、今なお取り組んでいるところです。からあげ粉をまぶしてから5分寝かせたり、温度を変えて2度揚げしたり、調理担当者にはこうしたプロセスを丁寧にわかりやすく教えながら、標準化に向けた取り組みを継続して行っています」(中島氏)
約1年の開発期間を経て、18年12月、ライフ ムスブ田町店(東京都港区)で初めて販売した。試食を用意し、出来立てを量り売りで販売したところ、100g258円という価格ながら飛ぶように売れ、一気にヒット商品に。その後、テレビでも紹介され、さらにからあげグランプリ®で最高金賞を受賞したことから、首都圏全店舗での販売へ。今後は調理工程も見直し、さらなるブラッシュアップをめざす考えだ。