レシートは語る第12回 スーパー隣接型が増加中の「無印良品」 併設出店で期待できる効果とは

山室 直経 (mitorizDMB本部 本部長)
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来店動機は商品力

 次に、「無印良品を利用する理由」を、店舗立地ごとに比較した(図表2)。

図表2

 総計を見ると、「独自商品がある」「買いたいと思う商品がある」「品質が良い」が、立地を押さえて上位にあがった。アンケートでも「オリジナル商品のデザインがよい」「衣類、食品など独自性があり、品質が良い」などの声が多く、高く評価されていることがわかる。

 無印良品は品質を含めて商品自体に魅力があり、来店動機となっていることがわかる。こうした専門店が隣にあることは、ともに出店するスーパーにとっても、来店機会の獲得につながりそうだ。

「スーパー隣接」を利用する理由に注目すると、「普段の買物のついでに寄れる」が30.1%と総計と比較して10.7ptも高く、無印良品にとってもスーパーが隣にあることが来店機会の拡大につながっているようだ。

「安い」「節約」が
高くなる傾向も

 そのほか特徴的なのが、スーパー隣接店は「安い」「節約ができるから」の回答が、立地別で高い傾向にあることだ。コメントでは「流行も取り入れつつ、リーズナブルな価格がよい」などの声があがっている。無印良品は食品スーパーとともに生活者の身近に出店することで、生活圏内の店のなかでは、デザイン性のある商品が、ほかの店と比べて値ごろな価格で購入できるという価値を提供できているのかもしれない。

 一方で、「店舗の大きさによって、ほしいものが売っている店舗とない店舗がある」「キンパなどテレビで紹介されると一気に品薄になるので欲しくても購入できない」、「話題になった商品はすぐ品薄になるので買いに行ってもないのが残念」といったコメントもある。限られた敷地での運営もあってか品揃えや、人気商品の欠品について改善を求める要望が散見された。

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記事執筆者

山室 直経 / mitoriz DMB本部 本部長

山室直経(やまむろ・なおつね)

神奈川大学経営工学科卒業。パソコンメーカーを経て、米リサーチ会社にてコンサルティング業務を学ぶ。その後、大手家電量販店子会社のパソコンメーカーで経営企画室に従事。計数管理とERP導入による業務改善などのプロジェクトを経験した後、2012年3月ソフトブレーン・フィールド入社、消費者購買データ事業の新規立ち上げを行う。

現在はデータを軸とした事業開発と当社の基幹システムのDX戦略を担う

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