既存店売上好調!原信・ナルスが強化する 「健康」「癒し」MDの注目商品レポート
「シーン」をテーマに設定し
幅広い提案を生み出す
次に「癒し」のMDについては、コロナ禍で家で過ごす時間が増えたことで、自宅でスイーツを楽しむニーズが高まった。これに対して原信・ナルスの取り組みで特筆するべき点は、単にスイーツの販売を強化するのではなく、「癒し」というMDのテーマに落とし込んで商品開発、提案を進めている点である。
その背景について原信ナルスオペレーションサービス(新潟県/原和彦社長)常務取締役商品本部長の中川学氏は「スイーツを求める背景にあるお客さまのストレスや不安、自宅で寛ぎたいという心理に目を向け、それに対する提供価値である『癒し』をテーマに設定することで、幅広い提案が生まれるようにした」と説明する。この結果、実際にスイーツの提案にとどまらず、質の高い睡眠をサポートする成分を含んだ商品を集積し「睡眠改善」コーナーを展開した店もあったという。
スイーツのPB開発進む
素材でさらなる独自化を
また、「癒し」をMDのテーマに掲げたことで、スイーツのラインアップ自体もここ1年で一気に広がったという。主にプライベートブランド(PB)商品や即食商品で商品開発が進んでいる。
たとえばPB商品では、22年には、3月に「バウムクーヘン屋さんのバウムクーヘン」、4月に「牛乳屋さんがつくった牛乳ぷりん」、6月に「牛乳屋さんがつくったたまごぷりん」、8月に「国産小麦と卵のカステラ」、10月「しっとりひとくちドーナツ」と立て続けにスイーツ商品を発売している。
なかでもプリンについては「牛乳ぷりん」や「たまごぷりん」のほかに、同じくPBの「ごまとうふ」を使った「ごまどうふ屋さんがつくったごまぷりん」も販売。さらに即食商品の売場では、原信・ナルスで長年愛されるオリジナルの商品であるおはぎの餡を使った「生ようかん」を展開するなど、独自の素材を使うことよってオリジナル性をより高めた商品開発を実践している。
このように原信・ナルスの商品開発の例を見ると、消費マインドが冷え込む中でも、消費者のニーズに沿って、価値ある商品をしっかり提案できれば需要は掘り起こせることがわかる。消費環境が新たな局面を迎え、商品政策(MD)を進化させることが求められるなか、原信・ナルスの取り組みから学べる点は多いはずだ。