靴下なのに「履かない」!?逆転の発想と技術で大ヒットした、ナイガイの新商品とは

油浅 健一
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創業100年以上の靴下メーカー ナイガイ(東京都/今泉賢治社長)が今夏発売した靴下が、その革新性で注目を集めている。その名も「はかないくつした SUSiC(スアシック)」。インパクト狙いでなく、本当に履かない独創的な靴下だ。同社で、靴下づくりを30年以上手がける、ものづくりのエキスパート、商品部門技術開発部開発課の遠藤裕治氏に、開発の狙いやポイントを伺った。

ものづくりのエキスパートが明かす開発の狙い

丈の短い靴下
丈の短い靴下の不満を解消

 履かないのに「靴下」を名乗る同製品。見た目はインソールそのもので実際、靴のインソール上に装着して使用する。したがって、正真正銘、「履かない」。ただそれならば、インソールでいいではないか。この疑問に充分に応えるだけの靴下としての機能が、同製品には満載されている。

 まずはなぜ、靴下がこんな形状になったのか。商品部門技術開発部開発課の遠藤裕治氏が説明する。「この10年の靴下のトレンドの一つに、靴を裸足で履いているように見せる、丈の短縮化がある。メーカーとしては、できるだけ足を覆う部分を少なくすべく、かかとを含めどんどん浅くしていった。しかしそれだと、どうしても脱げやすくなる。そこで滑り止めなどを装着したのだが、そうすると擦れて痛くなったり、痒くなったりする。だからといって裸足では不快感がある。そこでひらめいたのが、丈を全部取ってしまうというアイデアだった」

 つまり、裸足のように見せるために極限まで浅さにこだわっていたアプローチから、覆う部分そのものをなくしてしまおうと発想を転換、靴下自体の形状を大胆に変態したのだ。自身を「開発マニア」という遠藤氏ならではの独創的なアイデアだった。

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