小売10社を取材!原価高騰、競争激化を勝ち抜く、コロナ後の総菜売場の作り方、徹底解説!
価格に見合う付加価値を追求する動きが活発に
最近では、飲食店で食べるような洋風・エスニックメニューや、味や品質を向上させた高付加価値商品の開発に取り組むSMも少なくない。その理由の1つが、異業態を含めた総菜市場の競争の激化だ。とくにコロナ禍ではテイクアウトサービスを開始する飲食店が増えているほか、「ウーバーイーツ」などのフードデリバリーの利用者が増加しており、家庭でも手軽に飲食店のメニューが楽しめるようになった。
青果、精肉、総菜を品揃えするドラッグストアのGenky DrugStores(福井県/藤永賢一社長)は、強みの低価格を総菜においても強く訴求。子会社が運営するPCを活用し、SMやコンビニエンスストアからお客を取り込もうと、総菜の強化に乗り出している。「無印良品」を運営する良品計画(東京都/堂前宣夫社長)は、本社1階にオープンした小型店の「MUJIcom 東池袋」(東京都豊島区)で店内製造の総菜や弁当を提供する新サービス「MUJI Kitchen」を開始。今後も同サービスを小型店に導入していくとしている。
こうした異業態を含めた激しい競争環境で自社・自店が消費者に選ばれるため、各社は総菜の味や品質向上に取り組むほか、大手SMを中心に各カテゴリーを深掘りした専門店風の売場を構築している店舗もみられる。
また、直近で深刻化している原価高騰への対応としても、高付加価値商品が1つの有効策と考えられている。値上げが避けられない状況で、味や品質を追求することで消費者に高くても納得して買ってもらえるような商品を開発する必要性を感じている企業は少なくない。総菜コンサルタントの小関恭司氏は、「原価高騰がメディアで取り上げられ、消費者が値上げを容認する土壌ができあがっている今こそ、総菜を上質化し値上げするチャンスだ」と主張している。
東京都と神奈川県でSMを展開する文化堂(東京都/山本敏介社長)は、エビをサイズアップし旧価格から100円値上げした「大海老天と5種の旨味天丼」(税抜598円)など改良した商品の売上が好調だ。こうした高付加価値商品が部門全体の売上を引き上げているという。
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