小売10社を取材!原価高騰、競争激化を勝ち抜く、コロナ後の総菜売場の作り方、徹底解説!

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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PCを効果的に活用し生産性を高める

 このような課題を解決すべく、有力各社はすでに総菜部門の改革へ動き出している。近年深刻化している人手不足への1つの有効策が、プロセスセンター(PC)の整備による効率的な製造体制の構築だ。店内加工は出来立ての総菜を訴求するうえで重要だが、すべての作業を店内でやるには人時がかかりすぎる。PCは店内の人手不足を補えるほか、工場で一括製造するため生産性向上にも寄与する。徹底したオペレーションの標準化・効率化に強みを持つベルク(埼玉県/原島一誠社長)は、商品の特性に応じて子会社が運営するPCと店内製造、ベンダーへの外注を使い分け、効率的な売場運営に取り組んでいる。

 ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)は多様化する消費者のニーズに対応するため、PCを積極的に活用している。たとえば近畿圏では、トレーが9つに分かれている「御膳弁当」は、以前は店内ですべてのおかずを詰めていたが、現在はPCで6マスを埋め、残る3マスは店内で調理した揚げ物や焼き物などを入れるという手順に変更し、作業の効率化と出来立て感の両立を図っている。

 また、商品を絞り込むことで1品当たりの生産効率を高めているのがバロー(岐阜県/田代正美社長)だ。同社の総菜売場を運営するバローグループの中部フーズ(岐阜県/纐纈(こうけつ)直孝社長)はコロナ禍を機に「強い商品づくり」に注力し、各カテゴリーの品揃えを絞り込む戦略を採る。お客の支持が高い商品だけを単品量販で売り込むことによって、多くの種類を製造する手間が減り、核となる「強い商品」に製造を集約することで生産効率を高めている。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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