7月度スーパー3団体統計発表レポート 記録的高温の影響は?

北野 裕子 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

日本スーパーマーケット協会(JSA)、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、全国スーパーマーケット協会(NSAJ)の3団体は821日、7月の販売統計調査に関する記者発表会を開催した。定例発表の内容をレポートする。

統計

売上高は28カ月連続で増加

  スーパーマーケット(SM)販売統計調査報告(20257月)の内容によると、総売上高は全店ベースで対前年同月比5.5%増、既存店ベースでは同4.3%増と好調だった。米価の高止まりで関連品、麺類など代替商品を含めて売上が伸長したほか、記録的な高温により飲料などの夏物商材の販売が堅調だったことが要因にあるとみられる。233月度以降、28カ月連続で前年同月を上回った。

 部門別では、青果が全店ベースで同3.9%増と伸びた。麺類商品の薬味などに使うミョウガなどの需要が伸びたほか、季節もののすいかやメロンも好調だった。一方で、じゃがいもや玉ねぎなどの土物類は苦戦。高温による品質低下が作用したとみられる。

 鮮魚は同1.4%増にとどまった。相場高が続いて入荷が不安定な状況だったが、マグロやサーモンなどの刺身類が好調だった。また、7月は「土用の丑の日」が2回あり、鰻の売れ行きが伸びた店舗が多かった。一方で生カツオの不漁による影響があった。

 畜産は同4.4%増となった。相場高が続いて牛肉が振るわず、豚肉・鶏肉へ需要がシフト。豚肉は冷しゃぶ需要が伸びており、国産豚の価格高騰の影響で輸入豚が好調に推移した。鶏肉は価格高騰が続き伸び悩んだ。

 JSAの増井徳太郎副会長は「7月は観測史上最も高温を記録し、酷暑になった。梅雨明けも早く、水不足で農産物の育成に影響が出た地域もある。豪雨や台風5号も発生し、気候変動の影響が多い月となった」と振り返った。

主要地域生協の7月度供給高 店舗は好調も宅配が苦戦

  一方、主要地域生協の7月度供給高速報によると、総供給高は対前年同月比1.4%増の2369億円となった。内訳は、店舗供給高が同5.4%増の783億円、宅配供給高が同0.6%減の1541億円。宅配の減少は、曜日まわりによる営業日数削減が影響したかたちだ。

 店舗供給高では、客数・客単価ともに前年同月を上回った。部門別では、価格上昇の影響で大幅に伸びた米をはじめ、高温が続いたことでアイスや飲料など夏向け商品の利用が増えた。

 宅配供給高は、利用人数は前年に届かなかったが、コメの販売単価上昇の影響で、客単価が前年を上回った。

記事執筆者

北野 裕子 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

兵庫県出身。新聞社を経てダイヤモンド・リテイルメディアに入社し、ダイヤモンド・チェーンストア編集部に所属。

趣味は国内の海や湖を巡り、風光明媚な場所を探すこと。おすすめのスポットは滋賀県の余呉湖、山口県の角島大橋。

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