ウォルマートが積極推進する食の新トレンド「メイド・ウィズアウト」とは何か

文:松岡 由希子 (フリーランスライター)

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メイド・ウィズアウト
MADE WITHOUT

 メイド・ウィズアウトとは、特定の原料や成分を使用せずに商品を開発・製造することをいう。

 近年、食の領域でメイド・ウィズアウトを積極的に推進しているのが、米小売最大手ウォルマート(Walmart)だ。

サムズ・クラブ商品棚
メイド・ウィズアウトを推進するサムズ・クラブ

 2024年4月に立ち上げた食品の新プライベートブランド(PB)「bettergoods(ベターグッズ)」では、さまざまな食生活に対応して幅広い選択肢を提供するべく、カテゴリーの1つに「メイド・ウィズアウト」を掲げている。

 グルテンフリーで保存料不使用のチキンナゲットや、抗生物質・化学合成農薬・ホルモン剤不使用の牛乳、添加物・精製糖・亜硫酸塩不使用のドライフルーツなど、いずれも味や食感を損なうことなく、特定の原料を使用していないのが特徴だ。

 また、ウォルマート傘下の会員制ホールセラーのサムズ・クラブ(Sam’s Club)は、PB「Member’s Mark(メンバーズマーク)」の食品・飲料に使用しない原料として、人工香料や合成着色料、アスパルテーム、異性化糖(HFCS)など、40種類以上をリスト化した。「25年までにリスト上の原料をなくす」という目標を掲げ、これらの原料の除外や代替原料への切り替えを進めている。

 25年6月時点でメンバーズマークの食品・飲料の96%でこの目標を達成した。カラフルな星型クッキーなど、人工着色料を使用しない市場初の商品を投入したほか、生鮮食品ではリスト上の原料を一切使わず、毎日新鮮な状態で製造される寿司を581店で展開している。

 25年12月末までにはメンバーズマークの食品・飲料のすべてで、この目標を達成する見通しだ。今後は、食品・飲料だけでなく、日用品やベビー用品など、他のカテゴリーに拡大することも検討していく。

 この取り組みは、

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松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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