九州のラーメンを世界へ発信! 福岡の人気店「秀ちゃんラーメン」のユニークな海外戦略
福岡・博多で愛され続ける九州とんこつラーメンの名店「秀ちゃんラーメン」。物価高によりラーメンの価格が高騰する中でも秀ちゃんラーメンの人気は根強く、インバウンド需要の後押しもあり、来店客数はコロナ禍と比較して300%の伸びを示す。そしてその名は国内のみならず、アメリカやヨーロッパ、アジアへと広がりを見せ、秀ちゃんラーメンは海外での出店にも果敢に挑戦している。1963年から続く博多ラーメンの老舗「博多だるま」の二代目でもある創業者・河原秀登氏に、海外展開の今後の展望について話を聞いた。
「九州ラーメンを世界に知ってもらいたい」が海外展開の原動力

日本の国民食として老若男女問わず人気を誇るラーメン。一口にラーメンといっても醤油、塩、味噌、とんこつなどさまざまな種類があり、多くのラーメン店がしのぎを削る中、福岡発の秀ちゃんラーメンは、現在国内に9店舗を構えるとんこつラーメンの人気店の1つだ。
そんな秀ちゃんラーメンが初めて海外進出に挑戦したのは、2005年のこと。上海に海外第1号店となる「日本九秀拉麺」を出した。その後、09年からはニューヨークでも店舗展開をスタートする。以降、アメリカ、ヨーロッパ、アジアに出店し、日本のラーメン文化を世界に届ける役目を果たしてきた。
海外進出を積極化したのはなぜなのか。河原氏は、「事業拡大、売上拡大のために海外進出したのではない。『メイド・イン・ジャパン』のラーメンではなく、『メイド・イン・九州』のラーメンを世界に届けたかったからだ」と話す。
「私は九州・福岡の人間だが、海外に視察に行くと当然のように『東京から来たのか?』と言われる。それは、日本=東京というイメージが先行するから。同じように、日本のラーメンというと東京の醤油ラーメン、北海道の味噌ラーメンが代表的で、九州のとんこつラーメンは海外ではあまり知られていない。福岡のことを、とんこつラーメンのことを知ってもらうには、まずはとんこつラーメンという1つのジャンルを打ち出すことが必要だと考えた」
そうは言っても、とんこつラーメン一筋で勝負するのは難しい。各国、地域の宗教や食文化に配慮し、その土地に合わせた「オートクチュール」のラーメンをつくることで広く受け入れられる店づくりを行う。
「たとえばイスラム教徒の多い地域では豚を使わず、鶏白湯やベジタリアン対応のラーメンを用意。ニューヨークのようにビーガンやベジタリアンが多い地域では、野菜と米粉のみで作ったラーメンも展開するなど、とんこつラーメン以外にも、その土地の宗教・文化に合わせて用意する」(河原氏)。現在、アメリカ、メキシコ、台湾、オランダに合計11店舗を展開する。