AI 活用「配送最適化」進む!米国小売、最新物流戦略
米小売業は2020年のパンデミックが引き起こしたサプライチェーンの長期的混乱により、物流面で多くの困難に直面した。具体的には、モノ不足による欠品、その反動としての商品積み増しによる過剰在庫、倉庫や運輸における労働力不足などだ。24年に入っても問題が長引くなか、一部企業はAIを活用したソリューションを模索している。各社の取り組みと今後を展望する。
物流逼迫の問題は長期化の予測も
新型コロナウイルスの流行による経済活動の停滞に端を発した米小売物流の混乱では、主な供給元である中国からの供給の滞り、処理能力が低下した米国内の港湾における滞貨、物流拠点の倉庫スペース不足、運輸コストの高騰、物流スタッフの払底、トラックおよび鉄道輸送の大幅な遅れなどが同時多発的に発生した。
こうした状況に対応するため小売各社は在庫を積み増したが、22年からはコロナ収束と人流回復に伴い、旅行やレジャー、外食などのいわゆる「コト消費」が復活した結果、過剰在庫の問題が露呈することとなった。これに伴い、パンデミック中の巣ごもり消費に対応すべく増強した物流能力や倉庫のキャパシティが一部で余剰となり、その整理が必要となった。
ニューヨーク連邦準備銀行がまとめたグローバル・サプライチェーン圧力指数(GSCPI※)の推移によれば、パンデミックによる大幅な悪化を経て、22~23年には顕著な改善が見られる。また、米経済専門局CNBCが23年12月に全米小売業協会(NRF)をはじめとした小売・運輸分野の業界団体に加盟する341社の物流管理者に対して実施したアンケートで、「いつ供給網が通常に戻ると思うか」と問うたところ、19%が23年中、30%が24年中と、合わせておよそ半数が1年以内の回復を予想した。一方で、10%が25年中、7%が25年以降、12%は「永遠に通常には戻らない」と答えるなど、問題の長期化を予想する見方も根強い。
※GSCPI:海上輸送や航空輸送コストに関する指数や、主要各国の製造業購買担当者景気指数(PMI)など複数の変数をもとに、サプライチェーンにかかる負荷を指数化したもの
バイデン政権主導で物流データの共有を開始
他方、米小売業界ニュースサイトの『リテールダイブ』は、24年のサプライチェーンをめぐる課題について、①継続する人手不足の緩和、②上昇を続ける物流コストの抑制、③実店舗とオンラインを組み合わせた「オムニチャネル物流」への対応強化を挙げた。
とくに物流コストが高止まりするなか、ホワイトハウスが「ようやく落ち着きを見せ始めた物価において、下落した分の8割はサプライチェーンの改善によるもの」との分析を23年11月に公表するなど、インフレ退治のカギは物流効率化に
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