[北京 18日 ロイター] – 中国国家統計局が18日発表した2021年7─9月期の国内総生産(GDP)は前年比4.9%増となり、伸び率は4─6月期の7.9%から減速し、ロイターがまとめた市場予想(5.2%)以上に鈍化した。
電力不足や供給制約が生産部門の打撃となったほか、散発的に新型コロナウイルスの感染が拡大し、消費を圧迫した。
統計局の付凌暉報道官は「国内の景気回復はなお不安定でまだら模様だ」と述べた。
第3・四半期の経済成長率は、同じく4.9%増だった昨年第3・四半期以来の低い伸びとなった。今年第1・四半期に過去最大の18.3%増の伸びを記録して以降、鈍化傾向となっている。
前期比では0.2%増。こちらも市場予想の0.5%増を下回ったほか、第2・四半期の1.2%増(改定値)から鈍化した。
オックスフォード・エコノミクスのアジア経済担当責任者、ルイス・クイジス氏は「今後数カ月に見込まれるひどい内容の経済指標に対応する形で政策当局者は成長底上げに向けた一段の措置を講じるとみられる。銀行システムの潤沢な流動性確保やインフラ開発の加速、与信・不動産関連政策の部分的な緩和が含まれるだろう」と分析した。
経営危機に陥っている不動産大手、中国恒大集団の債務問題を背景に、不動産市場の債務リスクが経済全体に波及するとの懸念が世界的に強まっている。
李克強首相は先週、第3・四半期の経済成長はさまざまな要因が影響して減速したものの、課題に対処する手段は豊富にあり、政府は通年の発展目標の達成を確信していると述べた。
ロイター調査のアナリストは中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率を第4・四半期は据え置き、来年の第1・四半期に50ベーシスポイント(bp)引き下げると予想している。
中国国家統計局が18日発表した9月の鉱工業生産は、前年同月比で3.1%増加した。伸び率は8月の5.3%から鈍化し、ロイターがまとめた予想の4.5%にも届かなかった。
小売売上高は同4.4%増。予想は3.3%増、8月は2.5%増だった。
INGの大中華圏担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は「こうしたマイナス要因の大半は中国当局の政策によるものだ。中国経済は多くの問題を抱えるが、政策は変わらないため、問題はすぐにはなくならないだろう。海外との往来が完全に再開されない限り、この状況は来年まで続くだろう」と述べた。
中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は17日、今年は8%の成長率を見込むと述べた。
統計局の付報道官は「現時点で、中国の財政強度は引き続き増しているほか、金融政策にも依然として比較的大きな余地がある」と述べた。
ただ、人民銀は高水準の債務と不動産リスクへの懸念から金融緩和には引き続き慎重になると見込まれている。