[東京 14日 ロイター] – 10月ロイター企業調査によると、8割近くの日本企業が中国経済は緩やかな減速か、一時的な減速にとどまると見込んでいる。一方、中国経済の減速が自社の業績にマイナスの影響を及ぼすと回答した企業は半数以上にのぼっており、不動産開発大手の資金繰りや電力不足による経済への懸念が残る中国経済の減速が長期化すれば、国内企業への影響は避けられない状況だ。
調査期間は9月29日から10月8日まで。発送社数は503社、回答社数は260社程度だった。
中国経済は昨年の新型コロナウイルスのパンデミックから急回復を遂げたが、最近は息切れの兆候がみられる。国際通貨基金(IMF)は12日、中国の2021年の成長率予測を7月の予測から0.1ポイント下方修正し8.0%とした。
中国経済の減速について企業に聞いたところ、「当局のコントロール下で緩やかな減速にとどまる」が66%、「減速は一時的、当局の景気刺激策等で再加速」が13%となり、現段階で多くの日本企業は、中国経済が深刻な状況に陥るとは見ていない。10%は「来春にかけて底打ち」すると見ており、「中国発の金融危機に発展する」と回答した企業は11%にとどまった。
中国経済の減速が自社の業績に与える影響については、48%が「ややマイナスの影響」、7%が「非常にマイナスの影響」と回答し、計55%が下押し圧力がかかると見込んでいる。一方、「あまり影響はない」は37%、「まったく影響はない」が8%となり、半数弱の45%が業績にマイナスの影響はないとの回答だった。
マイナスの影響があると回答した企業は、製造業・非製造業とも幅広い業種で見られた。中には「事業の撤退タイミングの検討が必要になってくると思われる」(輸送用機器)、「中国内工場の操業は回復しない見込み 」(化学製品)と厳しい見通しを示す企業があった。
また中国を含む供給網が構築される中で「部材調達への影響に懸念」(電機)、「中国依存の業界からの発注が比較的多いため影響は避けられない」(卸売)という声も聞かれた。サービス業では、インバウンド需要が戻らないと影響は避けられないと回答した企業もあった。
一方、「中国市場には、環境関連製品を多く展開しており、昨今の環境意識の高まりで強い需要が継続すると考えている」(石油・窯業)との声や「景気減速で輸入コストが下がる」 (小売)など、先行きに期待を示す企業もあった。