[ワシントン 13日 ロイター] – 米労働省が13日発表した9月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比5.4%上昇し、伸びは前月の5.3%から加速した。エネルギー製品の価格が急騰する中、上昇は今後数カ月も継続する見通しで、インフレ上昇が一過性とする米連邦準備理事会(FRB)の見解に疑問を投げ掛けた。
食品や家賃の上昇が目立ち、9月の消費者物価上昇分の半分強を占めた。景気回復を阻害させかねない供給制約を早急に解消するよう、米政権への圧力が強まることは必至だ。
前月比でも0.4%上昇と、前月の0.3%上昇から加速した。
リフィニティブのまとめたアナリスト予想は前年同月比が5.3%上昇、前月比が0.3%上昇だった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.2%上昇。前月は0.1%上昇だった。前年同月比では4%上昇と、前月から変わらず。ともに市場予想と一致した。
プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフストラテジスト、シーマ・シャー氏は「食品価格と家賃の上昇は消費者に対する圧力の高まりを示唆した」と指摘。「最近の石油価格の上昇はまだ統計に反映されていないほか、中古車価格は再び上昇しており、インフレ指標を今後数カ月押し上げる公算が大きい」と述べた。
ロヨラ・メリーマウント大学(ロサンゼルス)のスン・ウォン・ソン教授は「供給網の制約は悪化しており、政府の介入にもかかわらず問題が近く緩和する見通しはない」と指摘。「物価上昇はもはや一過性のものではない」と語った。
食品は0.9%上昇し、伸びは前月の0.4%から加速。食肉価格の急騰を反映し、2020年4月以来の大幅な上昇となった。
帰属家賃も0.4%上昇し、5年ぶりの大幅な上昇となった。前月は0.3%上昇だった。
FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のシニアエコノミスト、ウィル・コンパーノル氏は「家賃の上昇が続けば、インフレ高進が当初の予想より根強いものになる可能性がある」と指摘。一部エコノミストは、今後は家賃上昇がインフレ高進の主な要因になるとの見方を示している。
新車も1.3%上昇と、5カ月連続で1%を超える伸びとなった。
シティグループのチーフエコノミスト、アンドリュー・ホレンホースト氏は「インフレ指標のみでなく、労働市場の逼迫やそれに伴う賃金上昇からもインフレの高まりが見て取れる」とし、企業による投入コストの転嫁を背景に「エネルギー価格の上昇がより広範なインフレの高まりの主因となる可能性がある」と述べた。
9月のCPI統計によるFRBの量的緩和の縮小(テーパリング)計画への影響はないもよう。FRBは早ければ11月2─3日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリングに着手すると予想されている。
ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「FRBはすでに、インフレについてはテーパリングの条件を満たしたと表明している」と指摘。その上で「CPI統計に反応し、債券市場では利上げ開始時期を巡る観測が変化する可能性はある。しかし、われわれは利上げは依然かなり先と見込む」と述べた。