[北京 9日 ロイター] – 中国国家統計局が9日発表した7月の生産者物価指数(PPI)は前月から上昇が加速し、アナリスト予想を上回った。原材料価格の高騰に苦しむ企業に一段と圧力がかかっている。消費者物価指数(CPI)は伸びが鈍化した。
PPIは前年比9.0%上昇。6月は同8.8%上昇で、ロイターがまとめたアナリストの予想も同8.8%上昇だった。
PPIは前月比で0.5%上昇。上昇率は6月(0.3%)から加速した。
CPIは前年比1.0%上昇で、6月(1.1%上昇)から減速した。政府の今年の目標(3%前後)を大きく下回っている。アナリストの予想中央値は0.8%上昇だった。
前月比では0.3%上昇。6月は同0.4%上昇。アナリストの予想は同0.2%上昇だった。
食品は前年比3.7%低下。非食品は同2.1%上昇した。
変動の大きい食品やエネルギーを除いたコアCPIは前年比1.3%上昇。6月は同0.9%上昇だった。
中国経済は、今年8%を超える成長を記録しそうな勢いだが、アナリストは、新型コロナ禍からの回復に伴い急増した需要はピークアウトしたと指摘し、サプライチェーンの目詰まりや感染力の強い新型コロナの変異株の広がりを背景に成長は鈍化すると予想している。
野村は「国内のインフレ圧力は概ね制御可能。PPIが予想より強かったことに当局は過剰反応しないとみられる。年内は『的を絞った引き締め+全体的な緩和』という政策の組み合わせを維持すると予想する」と述べた。
中国人民銀行(中央銀行)は7月に銀行預金準備率を引き下げ、1兆元(1544億ドル)の長期流動性を供給。アナリストの間では、年内に再引き下げを予想する向きが多い。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミストは「パンデミックの深刻化が世界のサプライチェーンをさらに混乱させている」と述べた。
回復失速
国家統計局は声明で、原油価格の上昇、一般炭の需要拡大が物価を押し上げていると指摘した。
石炭の採掘・洗浄価格は前年比45.7%、製鉄価格は同54.6%それぞれ上昇した。
ピンポイント・アセットは、当局が徹底した感染対策を講じていることで、サプライチェーンにさらに圧迫され、インフレ圧力は年後半も続くとの見方を示した。
8日確認された新型コロナ新規感染者は125人。国内感染は大半が中部の河南省と東部江蘇省で報告された。
国内の感染再拡大、政府の対応策への不透明感からゴールドマン・サックスとバークレイズは最近、第3・四半期の成長率予想を引き下げた。
7日発表の7月の貿易統計では輸出の伸びが鈍化した。物流の滞りや素材・輸送コストの上昇などが輸出に悪影響を与えている。