ラストマイル戦争勃発!電動自転車配送と超短時間配送が増える理由
米国のラストマイル配送は、交通事情からくる制約を多く受ける大都市圏を中心に、トラックに替わる効率的な配送手段を実験する動きと同時に、注文から30分以内という超短時間配送で差別化をめざす動きが同時に起こっている。各プレーヤーの動きと戦略をまとめた。
アナログだが効率的電動自転車配送
ラストマイル配送でアマゾン(Amazon.com)は新たな試みを開始した。オンライン需要が集中する大都市圏では、道路の混雑、荷降ろし用の駐車スペースの不足、交通規制の厳しさなど、いくつものハードルがある。ワシントン大学サプライチェーン交通およびロジスティクスセンターの研究によると、大都市圏で配送トラックは配送時間の28%を駐車スペースを探す時間に充てているという。トラック配送の困難や効率の悪さに加え、4月に開催された気候変動サミットでジョー・バイデン大統領が2030年までに二酸化炭素排出量の50~52%削減を表明したため、企業側ではトラックによる大気汚染削減も喫緊の課題となっている。
現在、大都市圏でのラストマイルの一般的な配送方法は、①配達地区内のどこかにトラックが駐車できる場所を確保し、その路上や歩道で荷物を台車に積み替え、配達員が台車を引いて個々に配達するか、②店舗や倉庫がある地区ならそこから台車または自転車に台車をつけて配達する、となる。随分時代遅れなようだが、これが大都市圏で時間通りに低コストで配送する、最も現実的な方法なのだろう。
アマゾンは19年から貨物運送会社のUPSおよびDHLと提携して電動自転車に台車をつないだ「eカーゴバイク」を100台テスト稼働させている。1台には最大45パッケージを積載でき、人力でこぐ自転車よりはるかに多い(注:筆者観察では1台18パッケージ程度)。
UPSは12年から独ハンブルグで、DHLは15年にオランダで同様のeカーゴバイクのテストを開始し、現在UPSはパリ、ロンドン、ローマを含む3 0 都市で、DHLはドイツ、ベルギー、香港、シンガポールで展開しており、それぞれ成功している。
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