[パリ/モントリオール 14日 ロイター] – フランス政府は14日、カナダのコンビニ運営大手アリマンタシオン・クシュタールによる仏小売大手カルフール買収提案について、食料安全保障の観点から認めない方針を示した。
フランスのルメール財務相は、ロイターネクスト会議で取材に応じ、「カルフールが外資企業に買収されることは、われわれ全てにとり大きな問題になる」と述べ、「食料安全保障は、全ての先進国にとり戦略的課題の中核部分だ」と指摘した。
その後、「食料安全保障は国家戦略に関わるため、国内の大手企業を売り渡すことはしない。これは丁重ながら明確な拒否であり、最終的な回答だ」と表明した。
クシュタールが拠点を置くカナダのケベック州のフィッツギボン経済相は14日、仏アルストムによるカナダのボンバルディアの鉄道関連事業買収を引き合いに出し、アルストムがボンバルディアの良き所有者になったように、クシュタールも良き所有者になれるということをフランス政府に伝えていると語った。
クシュタールは1株当たり20ユーロでの買収を提案。買収規模は200億ドル近くになるとみられる。
カナダのトルドー首相は、国内企業による国際的な成功をいつでも手助けする用意があるとし、今週フランスのマクロン大統領と協議したことを明らかにした。
カルフールがフランス国内の食料品店市場に占める割合は2割弱にとどまる。このため同社が戦略的に海外企業による買収を免れる対象になり得るのか疑問視する声も聞かれる。
仏共和党のオリビエ・マルレックス議員は「戦略的とされるセクターを大局的に捉えた場合、可視性を求める外国人投資家にとっては疑念が芽生える」と述べた。