[ワシントン 11日 ロイター] – 米労働省が11日発表した8月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.4%上昇と、市場予想の0.3%上昇を上回る伸びとなった。新型コロナウイルスの感染懸念から公共交通機関が敬遠されたことを背景に、中古車・トラック価格の伸びが51年超ぶりの大きさとなった。
CPIは新型コロナの感染拡大を抑制する事業閉鎖に伴う需要低迷を受け、3─5月は下落していたが、6─7月はともに0.6%上昇していた。
8月の前年比は1.3%上昇。7月は1.0%上昇、市場予想は1.2%上昇だった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.4%上昇。7月は0.6%上昇と1991年1月以来の大幅な伸びを記録していた。中古車・トラック価格が5.4%上昇と、1969年3月以降で最大の伸びとなり、コアCPIの伸びの40%以上を占めた。
コア指数の前年比は1.7%上昇。7月は1.6%上昇だった。
連邦準備理事会(FRB)が物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は7月に前年比1.3%上昇していた。8月のコアPCE価格指数は今月下旬に発表される。
基調的な物価の伸びが底堅いことから、デフレ懸念は当面払拭された格好だが、FRBは引き続き大規模な金融緩和に専念する見通し。FRBは先月、物価の一時的な上振れを容認し、雇用の最大化に重点を置いた新戦略を公表したばかり。
オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の米国金融担当チーフエコノミスト、キャシー・ボシュティアンチッチ氏は、「消費者物価はコロナショックから持ち直しているが、供給不足が解消されれば物価の伸びは緩やかになるはず」と指摘。「FRBの新たな政策目標は金融政策がかなりの期間、非常に緩和的なものにとどまることを強調している」と述べた。
8月はガソリン価格が2.0%上昇。7月は5.6%上昇していた。食品価格は0.1%上昇。7月は0.4%下落と、2019年4月以降で初の下落だった。家庭で消費される食品の価格は0.1%下落。7月は1.1%下落だった。
家賃は0.1%上昇。7月は0.2%上昇していた。
娯楽費は0.7%上昇。6─7月は下落していた。家庭用品・家庭向けサービスは0.9%上昇と、1991年2月以来の大幅な伸びとなった。家具・寝具が1.6%上昇、家電が2.0%上昇となった。
服飾費は0.6%上昇。上昇は3カ月連続だった。自動車保険は0.5%上昇。航空運賃は1.2%上昇した。