中国PPI、8月は前年比で低下幅縮小 CPIは伸び鈍化
[北京 9日 ロイター] – 中国の8月の生産者物価指数(PPI)は7カ月連続の低下ながら、低下幅は過去5カ月で最も小さく、新型コロナウイルス禍から工業部門が順調に回復していることをうかがわせた。消費者物価は、豚肉価格の急騰に歯止めがかかり、上昇率が鈍化した。
中国国家統計局が発表した8月のPPIは前年比2.0%低下。ロイター調査によるアナリスト予想と一致した。7月は2.4%低下だった。
消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇。こちらもアナリスト予想と一致した。7月は2.7%上昇だった。
アフリカ豚熱の流行で昨年8月から急騰している豚肉価格は前年比52.6%上昇で、7月(85.7%上昇)から大きく減速した。
変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は7月と同じく前年比0.5%上昇。ただし前月比では0.1%上昇と1月以来のプラスとなった。
キャピタル・エコノミクスの中国シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンスプリチャード氏は、今後は豚肉の供給回復が続き、総合CPIはさらに鈍化するとの見方を示した。
PPIは前月比0.3%上昇で、7月(0.4%上昇)から若干減速した。
国家統計局は声明で「8月は鉱工業生産が引き続き回復し、市場の需要も改善が続いた」と説明した。
ただ華宝信託のエコノミスト、ニー・ウェン氏は、PPIが年内に前年比プラスに回復することはないとみる。
「つまるところ、(新型コロナの)パンデミック(大流行)がいつ収束するかだ。冬になると中国で感染が再び拡大する可能性が強く、(鉱工業生産の回復を巡り)なお不確実性が高い」と述べた。