英国アパレル大手のプライマークはなぜ、コロナ禍でもECを開設しないのか?
その日、アパレル大手のプライマーク(Primark)の各店舗の前には、オープンを待ちわびた顧客が開店前から長蛇の列をつくった。6月15日、英国・イングランドでは、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大によるロックダウンが緩和され、「ノン・エッセンシャル」(生活必需品以外)とされた店舗が営業を再開。プライマークも、イングランドにある152店舗を一斉に再開した。
プライマークはオンラインショップを持たない。だから、ロックダウンで休店していた間、消費者は同ブランドの商品を購入することはできなかった。逆に言えば、プライマークはその期間1枚のTシャツすらも販売できなかった。
最新トレンドのアパレル商品を低価格で販売するプライマークは、英国をはじめとする欧州11カ国と米国に約370店舗を展開する。その全市場の全店舗が休店した3月11日から22日までの12日間を含め同月は、6億5000万ポンド(約910億円)の売上を獲得し損なったと同社は分析する。6月20日に終了した2020年度第3四半期の売上高は5億8200万ポンド(約815億円)と、対前年同期比75%減に終わった。
COVID-19の世界的大流行により、小売企業の多くが「実店舗第一主義」から脱却し、オムニチャネル化にいっそう注力し始めている。
英国の衣料品市場ではプライマークとマークス&スペンサー(Marks & Spencer)が2大巨頭である。マークス&スペンサーは「ECが最大最高のストア」との意識改革を行い、事業の変革を急いでいる。
一方のプライマークは
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