[北京 16日 ロイター] – 中国国家統計局が16日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比3.2%増加し、記録的な落ち込みとなった前期からプラスに転換した。
新型コロナウイルスの流行を受けたロックダウン(都市封鎖)が解除され、当局が景気刺激策を強化したことが寄与したが、国内消費と投資は依然として低迷している。
第2・四半期GDPの前年比伸び率はアナリスト予想の2.5%を上回った。
第1・四半期は同6.8%減と、四半期の統計で遡れる1992年以降で初のマイナスを記録していた。
NAB(シドニー)の為替ストラテジスト、ロドリゴ・キャトリル氏は「全体としては、予想を上回ったと言ってよいが、個人消費の回復が遅れていることも明らかになった」と指摘。
「政府の支援策主導の回復という側面が非常に大きい。支援策は企業サイドを非常に重視したものだ。消費者は依然として非常に慎重だ。市場は、個人消費への依存度が高い国について、そうした慎重さの度合いに注目している。したがって、これは米国にも関係してくる」と述べた。
6月の小売売上高は前年比1.8%減
国家統計局が同時に発表した6月の小売売上高は前年比1.8%減少。市場予想は0.3%増加だった。商業施設や飲食店などの閉鎖により、小売売上高は5カ月連続で減少している。厳しい感染抑制策は緩和されているものの、客足の戻りは鈍い。
1─6月の固定資産投資は前年比3.1%減。市場予想(3.3%減)より小幅な減少となった。1─5月は6.3%減だった。
6月の鉱工業生産は前年同月比4.8%増加した。増加は3カ月連続で、経済が新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復しつつあるとの安心感を与える結果となった。
伸び率は市場予想の4.7%を上回った。5月は4.4%増、4月は 3.9%増だった。
上半期のGDPは前年比1.6%減少した。
第2・四半期のGDPは前期比では11.5%増。市場予想は9.6%増だった。第1・四半期は10%減少していた。
国家統計局が発表したデータに基づきロイターが算出した6月の不動産投資は前年比8.5%増と5月の8.1%増から伸びが加速した。
国営ラジオが13日報じたところによると、中国の李克強首相は、同国の景気が安定的な回復を示しているものの、国内外の状況は依然深刻で、今後も厳しい戦いを控えているとの認識を示した。
国家統計局は、同国経済は今年下半期も回復を続けるとの見通しを示した。ただ、新型コロナウイルス流行による世界経済への影響が中国の経済成長に多少の課題をもたらすと指摘した。
ダッカーフロンティアの中国担当アナリスト、Boyang Xue氏は「多くの先進国で経済活動が再開しており、中国の輸出業者が恩恵を受けているが、一部の国で新型コロナの感染が再び拡大しており、最近の輸出の回復を維持できるのか、という深刻な問題が浮上している」と述べた。
当局は支援策継続へ、債務は拡大
当局は景気の回復を支えるため、下半期も支援策を維持すると広く予想されている。ただ、債務拡大に対する懸念も出ている。
中国人民銀行(中央銀行)の阮健弘・調査統計局長は先週、中国のマクロレバレッジ比率が第1・四半期に14.5%ポイント上昇したと指摘。第2・四半期も上昇が続いたとしている。
国際金融協会(IIF)は、第1・四半期の中国の債務総額をGDP比317%と推定。昨年終盤は300%だった。四半期ベースでは過去最大の増加を記録したという。