[ワシントン 16日 ロイター] – 米商務省が16日発表した6月の小売売上高は前月比7.5%増と、市場予想の5%増を上回った。新型コロナウイルス流行で停止状態にあった経済活動の再開に伴い、小売売上高は上向いたものの、感染再拡大や高水準の失業率が初期の景気回復を脅かす中、今後の見通しを巡る不透明感は根強い。
前月は18.2%増と、過去最大の伸びを記録していた。
エコノミストは2カ月連続での増加について、政府による週600ドルの追加失業給付が寄与していると指摘する。しかし、この特別措置は7月末に終了する。
MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「少なくとも目先の消費動向を巡る状況は不透明なようだ」とし、「コロナ感染の第2波によって一部の州は制限措置を再導入し、7月の消費は向かい風に直面する」と述べた。
オックスフォード・エコノミクスのシニア米国エコノミスト、リディア・ブソル氏も「全国的に新型ウイルス感染が拡大していることで、消費回復の持続性は疑問にさらされている」とし、「感染拡大が最も深刻な州で需要が減退していることが、リアルタイム指標で示されている」と述べた。
6月は自動車などの高価格商品の売り上げが伸びたほか、外食が好調だった。
自動車・部品は8.2%増。ガソリンスタンドは15.3%増、家電は37.4%増、衣料品は105.1%増、家具は32.5%増となった。
レストランやバーなどの飲食は20.0%、娯楽・楽器・書籍は26.5%、それぞれ増加した。
一方、オンライン・通信販売は2.4%減、建設資材は0.3%減、生鮮食料品は1.6%減となった。
自動車、ガソリン、建設資材、食品サービスを除くコア小売売上高は5.6%増。5月は10.1%増加していた。コア売上高は国内総生産(GDP)の個人消費の構成要素と密接に連動する。
エコノミストは、第2・四半期の消費支出は年率換算で最大37%減少したと予想。消費支出は米経済活動の約3分の2を占めるため、同四半期の国内総生産(GDP)は約36%減となった可能性がある。
JPモルガンのチーフ米国エコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「コロナ危機前の水準を下回ったものの、経済活動は5、6月に加速した」と指摘。同時に、最近の指標は「新型コロナ感染再拡大によって7月に活動が減速したことを示唆している」と述べた。