[ブリュッセル 29日 ロイター] – 欧州連合(EU)統計局が発表したユーロ圏の5月の消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比0.1%上昇し、4月の0.3%上昇から減速した。世界的な不況や産油国間の対立でエネルギー価格が12%急落した。
欧州中央銀行(ECB)は、インフレ率を中期的に2%弱に維持することを目指しているが、この水準を大幅に下回っている。
一方、変動の大きい未加工食品とエネルギーを除いたコア指数は1.1%上昇。伸び率は4月と同水準だった。
エネルギー・食品・アルコール・たばこを除くCPIは0.9%上昇。こちらも4月と同じ上昇率だった。
ECBは7年にわたって物価目標を達成できない状態が続いている。現在の新型コロナウイルス危機によって今後さらに数年間、未達が続くとみられる。一方で、追加の金融政策を打ち出す余地は限られている。
このため、現在の物価目標の実行可能性を疑問視する声も出てきており、2021年半ばに終える予定のECBの金融政策戦略の見直しではこの問題が最も注目を集めるとみられる。