[ワシントン 23日 ロイター] – IHSマークイットが23日公表した4月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は27.4と、統計を始めた2009年末以来の低水準を付けた。新型コロナウイルスの危機により製造業とサービス業がともに大きな打撃を受けた。米経済は前例のない領域に足を踏み入れた。
3月は40.9だった。指数は50が景気拡大・縮小の節目となる。
新型ウイルスの感染拡大を抑えるため、州や地方政府は「自宅待機」や「外出自粛」勧告を出しており、90%以上の人口に影響している。経済活動は急停止した。3月21日以降、2200万人超が失業保険を申請した。
IHSマークイットのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は声明で「新型ウイルスの感染拡大で米経済は4月に大打撃を受けた」と述べた。「PMI速報値の低下は、世界金融危機の時でも見られなかった規模で経済が縮小していることを示す」と付け加えた。
エコノミストは米経済が3月に景気後退入りしたとみている。
米国が景気後退に陥ったかどうかを判断する全米経済研究所(NBER)は、多くの国で採用されている基準である2四半期連続のマイナス成長ではなく、経済活動の停滞が広域にわたり数カ月以上続くかどうかをみている。
内訳は、サービス業が27.0と、過去最低水準を付けた。3月は39.8だった。市場予想は31.5だった。サービス業は米経済の約3分の2を占める。
製造業は36.9と、前月に続き低下し、09年3月以来の低水準を付けた。3月は48.5だった。市場予想は38.0だった。製造業は米経済の約11%を占める。
製造業の新規受注指数は09年初め以来の低水準まで落ち込んだ。製造業生産が第2・四半期も減り続けることを示唆した。米連邦準備理事会(FRB)が先週発表した製造業生産指数は第1・四半期に11年ぶりの大幅な落ち込みとなった。
製造業は、新型ウイルスが米国で広がるずっと前から米中貿易摩擦の打撃を受けていた。
新型ウイルスによる供給網の混乱に加え、今週の米原油相場の急下落によって石油探索・掘削機器の需要が減るとみられ、これも製造業を圧迫する材料となる。
IHSマークイットは「多くの企業が、新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け国内外からの受注が中止もしくは延期されたと強調した」と述べた。製造業者が向こう1年間について軟調な生産見通しを示したと付け加えた。一部の製造業者は「第3・四半期に好転することに期待を示した一方、多くの企業が回復の長さや、感染拡大を抑えるための現在の緊急対策がどれだけ長引くかについて不安を示した」と指摘した。