[ブリュッセル 3日 ロイター] – 欧州連合(EU)統計局が発表した2月の消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比1.2%上昇し、1月の1.4%上昇から減速した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、原油価格が下落した。
ロイターがまとめたアナリスト予想も1.2%上昇だった。
消費者物価が減速した主因は、エネルギー価格の前年比0.3%下落。エネルギーおよび未加工食品を除くと前年比1.4%上昇となり、1月の1.3%上昇から加速した。
INGのエコノミスト、ベール・コリーン氏は「Covid─19の経済への影響で、向こう数カ月はインフレ統計がゆがめられるが、それがどの程度なのか判断するのは尚早。今のところは、新型ウイルスのインフレへの影響では、原油価格の下落が最大のものとなっている」と指摘した。
エネルギーと未加工食品に加えてアルコール、たばこを除いたインフレ率も、1月の1.1%から1.2%に加速した。
欧州中央銀行(ECB)は、インフレ率を中期的に2%弱に維持することを目指している。
コリーン氏は「ECBにとって、きょうの数字は現在の穏やかなインフレ環境を確認しただけだ。3月12日の理事会では、2月のインフレ率よりも、Covid─19への足元の対応が優先されるだろう」と話した。
ECBは今年のインフレ率を1.1%と予想。2021年には1.4%に加速すると見込んでいる。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ジェシカ・ヒンズ氏は「今年のインフレ率は、当社およびECBの予想よりもやや低くなるのではないか」とし「われわれは、ECBが来週の理事会でインフレ予想を下方修正すると見込んでいる。新型ウイルスの感染が起こる前ですら、当社の予想では、インフレ率がECB目標の『2%弱』を既に下回っていることが示されていた。(新型ウイルスを受けて)インフレ目標達成はいっそう厳しくなり、政策措置の正当性が増した」と述べた。
EU統計局が同時に発表した1月のユーロ圏生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%上昇、前年比では0.5%低下となった。エコノミスト予想は前月比0.5%上昇、前年比0.5%低下だった。
また、1月のユーロ圏失業率は7.4%で、2008年5月以来の低水準を記録した昨年12月と同じ値となった。2019年1月は7.8%だった。