[ワシントン 14日 ロイター] – 米労働省が14日発表した2019年12月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.2%上昇と小幅に伸びた。米連邦準備理事会(FRB)が少なくとも20年末まで金利を据え置く材料となる可能性がある。市場予想は0.3%上昇だった。
11月は前月比0.3%上昇していた。10月に0.4%上昇して以降、物価上昇圧力は弱まっている。
MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は、米経済が2020年第1・四半期に新たにソフトパッチ(一時的な軟化局面)入りするという初期の兆候を示しているとの懸念を高める内容だったと指摘。「FRBは今年、様子見姿勢となるだろうが、全体的な経済需要が弱まり、インフレ率が目標に回帰する兆しがほとんどなければ速やかに変更する可能性がある」と述べた。
12月の前年同月比は2.3%上昇し、市場予想と一致。11月は2.1%上昇だった。
年間では2.3%上昇。上昇率は11年以来の大きさだった。18年は1.9%上昇していた。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.1%上昇し、11月の0.2%上昇から減速した。四捨五入していない数値は12月が0.1133%上昇、11月が0.2298%上昇だった。12月は中古車や航空券、家庭用品の値下がりが抑制要因だった。医療費や衣料、新車、娯楽、自動車保険は値を上げた。
コアCPIの前年同月比は2カ月連続で2.3%上昇と、18年10月以来の大幅な伸びだった。11月も2.3%上昇していた。年間ではコアCPIは2.3%上昇と、18年の2.2%上昇を上回った。
FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は11月に1.6%上昇した。19年は1月から11月までFRBの目標である2%を下回った。12月のPCE価格指数は今月末に発表される。
FRBは19年に3回利下げをした。12月の前回会合では金利を据え置き、20年は金利を変更しないことを示唆した。
FRBが今月に公表した昨年12月10─11日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、政策当局者は総じて、景気が拡大し続け稼働率が高水準を保つ中で物価がいづれか中銀の目標に達することを見込んでいる。一方、一部の当局者は「グローバル化もしくは技術関連の要因で物価下落圧力がかかっており、この課題は乗り越えが困難」との見方を示した。
先週発表された12月の雇用統計では失業率が50年近くぶりの低水準である3.5%を保ち、現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は6.7%と過去最低水準を付けた。しかし、賃金の前年同月比の伸びが3.0%を下回り、物価上昇圧力が緩やかであることを示した。
12月のCPIの内訳は、ガソリンが前月比2.8%上昇。11月は1.1%上昇していた。食品は0.2%上昇。11月は0.1%上昇していた。家庭用食品は12月に0.1%上昇した。
帰属家賃は3カ月連続で0.2%上昇だった。
医療費は0.6%上昇。11月は0.3%上昇していた。年間では4.6%上昇し、上昇率は07年以降で最大。18年は2.0%上昇だった。
ナロフ・エコノミック・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「こう判断するのは時期尚早かもしれないが、医療に対する現行の自由放任主義的な手法が医療費上昇につながり始めているようだ」と述べた。
衣料は0.4%上昇。11月は0.1%上昇していた。新車は0.1%上昇と6カ月ぶりにプラスに転じた。中古車は0.8%下落で、11月の0.6%上昇からマイナスへ転じた。
家庭用品・家庭向けサービスは0.4%下落と、14年12月以降で最大の落ち込みとなった。