[ロンドン 6日 ロイター] – 地政学的リスクの高まりに伴う原油価格の上昇が、南アフリカ、トルコ、インドなど原油を輸入する新興国を一段と圧迫している。これらの国はすでに経済の低迷に見舞われている。
新興国市場はここ数年、ドル高と米中貿易戦争の影響、さらには国内の混乱などで揺れ動いてきた。
中国とインドを筆頭に、主要な新興国の半数以上は原油輸入国だ。だが、注目を集めるのは、外国資金に大きく依存し、通貨安に直面している多くの新興国だろう。
BNPパリバ・アセット・マネジメントの新興国債券責任者、ブライアン・カーター氏は「とりわけ原油などコモディティー価格が高騰する場合、国家財政への影響を分析することが適切だ」とした上で、その影響は相場の高止まりの長さによるところが大きいと指摘する。
現在、通貨安とドル建てエネルギー輸入への高い依存度、対外資金フローの打撃を受けている新興国で問題が起きている可能性がある。
カーター氏によると、インドとトルコは原油高の打撃を受けやすい市場だ。トルコ、南ア、インドは国内総生産(GDP)に占める輸入の割合がここ2年でいずれも拡大。燃料輸入が占める割合はかつてないほど大きくなった。
通貨安は問題を増幅させてきた。ブレント原油先物は多少の変動はあれ、おおむね2年前につけた水準近辺で推移しているにもかかわらず、多くの新興国では自国通貨建ての原油価格が急騰している。
アバディーン・スタンダード・インベストメンツのビクトル・サボ氏は「原油は昨年10月初め以来、20%上昇している。(成長が低迷しているため)市場はいわば過剰供給の状態に入りつつある」と指摘。
「原油相場が現在の水準で推移する場合、為替のインフレへの影響が若干強まると考え直す必要がある。それから金利の想定を見直し、さらに成長の想定を見直さなければならない」と述べた。
原油価格が上昇する場合、アナリストはオイルショックがその国の輸入カバーにどう影響するか、中央銀行の外貨準備が十分かどうかにも注目する。
インド、中国、トルコなどの輸入国は輸入価格の高騰や国内需要の増加などの影響を受けると、ジェムコープ・キャピタルのチーフエコノミスト、サイモン・クイジャーノ・エバンス氏は指摘する。
同氏は「コモディティー価格の上昇が通貨安やインフレへの悪影響をもたらすのを防ぐため、外貨準備の積み増しや実質金利の引き上げが講じられる」と述べた。