[14日 ロイター] – 米労働省が14日発表した10月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.4%上昇した。4月以来6カ月ぶりの大幅な伸びだった。利下げ休止を示唆する米連邦準備理事会(FRB)の姿勢を後押しする内容だ。市場予想は0.3%上昇だった。
9月は0.3%下落していた。
10月の前年同月比は1.1%上昇し、2016年10月以来の小幅な伸びにとどまった。市場予想は0.9%上昇だった。昨年10月にPPIが大幅に伸びたことが鈍化要因。9月の前年同月比は1.4%上昇していた。
食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数は前月比0.1%上昇した。9月は横ばいだった。10月の前年同月比は1.5%上昇。9月は1.7%上昇していた。コア指数も昨年10月に大幅に伸びたことが鈍化の要因。
13日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)は好調に伸びた。医療費と中古車が大幅に伸び、全体水準を押し上げた。
FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は9月に前年同月比で1.7%上昇。今年はFRBの目標である2%を下回っている。10月のPCE価格指数は今月末に発表される。
FRBは先月、今年3度目となる利下げを決めた。7月に08年以来初めてとなる利下げに踏み切って以降、金利を引き下げてきたが、利下げの休止を示唆した。パウエルFRB議長は13日の議会証言でも同じ姿勢を示した。
ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スイート氏は「FRBが利上げを検討するためにはインフレ率の著しい加速が必要だが、それは起こりそうにない」と述べた。
最近発表された経済指標は比較的明るい内容で、景気後退懸念が和らいでいる。10月の雇用者数は市場予想を上回ったほか、サービス業の活動も加速した。また、設備投資や製造業の重しとなってきた16カ月間続く米中貿易摩擦が収束に向かう兆しも見えてきた。
PPIの前月比の内訳は、エネルギーが2.8%上昇。9月は2.5%下落していた。10月はガソリンが7.3%上昇し、全体水準を押し上げた。ガソリンは9月に7.2%下落していた。
モノは0.7%上昇。ガソリンの値上がりが上昇要因の半分近くを占めた。9月は0.4%下落していた。
食品は1.3%上昇。9月は0.3%上昇していた。
モノのコア指数は横ばい。9月は0.1%下落していた。
サービスは0.3%上昇。9月は0.2%下落していた。10月は貿易サービスが0.8%上昇し、全体水準を押し上げた。貿易サービス費は卸売りや小売りの業者の利幅に相当する。
医療サービスは0.8%上昇。9月は0.3%上昇していた。外来費は0.7%上昇し、09年7月以来の大幅な伸びとなった。入院費は0.6%上昇し、18年10月以来の大幅な伸びだった。医療費用はコアPCE価格指数に組み入れられる。
同じくコアPCE価格指数に組み入れられるポートフォリオ管理費は0.9%下落。9月は横ばいだった。
これを受け、エコノミストは10月のコアPCE価格指数が0.2%上昇すると予想。9月は横ばいだった。前年同月比では1.7%上昇が見込まれている。