米CPI、9月は横ばい ガソリンなど値下がり

ロイター
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米小売業界、対中追加関税に反発 価格上昇や雇用への打撃を警告
米労働省が10日発表した9月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月から横ばいと、1月以来の弱さだった。シカゴで昨年11月撮影(2019年 ロイター/Kamil Krzaczynski)

[ワシントン 10日 ロイター] – 米労働省が10日発表した9月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月から横ばいと、1月以来の弱さだった。食品価格と家賃の上昇をガソリンと中古車価格の下落が相殺。8月の0.1%上昇から鈍化し、市場予想の0.1%上昇も下回ったことで、貿易戦争が経済に及ぼすリスクが高まる中、米連邦準備理事会(FRB)が今月の会合で今年3回目の利下げを決定するとの観測を裏付ける格好となった。

9月の前年同月比は2カ月連続で1.7%上昇した。市場予想は1.8%上昇だった。

ネイションワイド(オハイオ州コロンバス)のシニアエコノミスト、ベン・アエール氏は「FRB当局者は、世界的な経済成長の鈍化や通商問題のほか、米製造業部門の減速を重視する可能性がある」とし、「このところの米経済指標が軟調となっていることで、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定される確率は上昇しつつある」と述べた。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.1%上昇。前月まで3カ月連続で0.3%上昇と、底堅く伸びていた。9月は医療費の伸びが鈍化したほか、衣料と新車、通信機器が値下がりした。9月の前年同月比は2カ月連続で2.4%上昇だった。

8日に発表された9月の卸売物価指数(PPI)は8カ月ぶりの大幅な落ち込みだった。9日に公表された9月17―18日のFOMCの議事要旨によると政策当局者は、過去最長期間続く景気拡大へのリスクが「幾分高まった」との見解を示した。景気拡大は11年目に入っている。15カ月間続く米中貿易摩擦や世界経済の減速、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る混乱などがリスク要因となっている。貿易摩擦によって設備投資が減り、製造業の低迷につながった。

FRBは7月に2008年以来となる利下げに踏み切った後、9月に再び金利を引き下げた。エコノミストはFRBが今月29―30日の会合でも利下げするとみている。

FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は8月に前年同月比で1.8%上昇した。今年はFRBの目標である2%を下回っている。

米政権が関税を課す中国製品の対象を幅広い消費財に拡大したため、エコノミストは物価が今後加速し、20年に目標を超えるとみている。

9月のCPIの内訳は、エネルギーが1.4%下落した。前月は1.9%下落していた。エネルギーのうちガソリンが2.4%下落。前月は3.5%下落していた。

食品は0.1%上昇。前月まで3カ月連続で横ばいだった。家庭用食品は9月に横ばいだった。

帰属家賃は0.3%上昇。前月まで2カ月連続で0.2%上昇していた。医療費は0.2%上昇。前月は0.7%上昇と、3年ぶりの大幅な値上がりだった。衣料は0.4%下落した。前月は0.2%上昇していた。政府は今年初め、衣料のCPIの算出方法を変更した。

中古車は1.6%下落。前月まで3カ月連続で伸びていた。新車は0.1%下落した。家庭用雑貨と自動車保険、航空費、たばこは値上がりした。

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