[北京 16日 ロイター] – 経済協力開発機構(OECD)は16日に公表した中国に関する報告書で、景気刺激策により今年と来年の中国の経済成長は押し上げられるものの、債務水準を管理する取り組みが損なわれ、中期的には構造的なゆがみがさらに増す可能性があるとの見方を示した。
中国政府は景気の急減速回避に向けて財政出動に動いている。地方政府は今年、インフラ整備事業向けに2兆1500億元(3206億ドル)相当の特別目的債の発行が認められており、これは、昨年水準を59%上回る規模。
S&Pグローバル・レーティングは昨年、地方政府の隠れ債務は40兆元に達しているとの推計値を発表した。
OECDは、「今後、インフラ刺激策による成長の後押し効果が期待できる一方で、不均衡と資本の不適切な配分がさらに進む可能性がある。それにより、中期的な成長が弱まるかもしれない」との見方を示した。
さらに、高リスクの資金調達や借り入れ取りに対する取り締まりを背景に、国内企業の債務は対国内総生産(GDP)比約160%に低下したものの、他の主要国と比較すると依然高水準だと説明した。
OECDのルドガー・シュークネヒト事務次長は、金融緩和策は、企業に一段の圧力となる流動性ひっ迫のリスクを低下させるとした指摘した。ただ、中国政府は、政策の「オーバーシュート」を回避すべきで、副作用を回避しながら経済を支援することが財政政策の目的であるべきだとの見方を示した。