テック企業となったウォルマート 新たな金脈はサブスク、金融、外販、広告か

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アメリカ小売大

小売企業として世界最大の売上規模を誇るウォルマート(Walmart)。コロナ禍を経て小売事業は依然好調に推移している。それに加え、フィンテックへの本格進出、サプライチェーン・ECへの投資加速、EC・物流システム、広告といった外販ビジネスの強化など、多方面でダイナミックな動きを見せている。“リアルの王者”の現在地を解説する。

フィンテック強化に本腰の姿勢

 昨年の本稿でも記したとおり、ウォルマートの決算書を読むときはまず役員リストを眺めることから始める。役員クラスはおおよそ年度末から年初にかけて異動があり、決算書に記されるのは1年ほど遅れることになる。前年初頭の新任役員のプロフィールを確認することになるのだが、ウォルマートは昨年異動がなかったので今年のリストは昨年とまったく同じ、変化したのは年齢だけである。

ウォルマートのロゴ
ウォルマートはコロナ禍を経ても不変の強さを見せつけている
ウォルマートCEOのダグ・マクミロン
ウォルマートCEOのダグ・マクミロン

 昨年の平均年齢は50.9歳だったので、1歳繰り上がって51.9歳となった。CEOのダグ・マクミロンは55歳、最高齢はCTO(最高技術責任者)のスレシュ・クマルで57歳、最年少は米国ウォルマートCEOのジョン・ファーナーの47歳である。このファーナーはマクミロンの後継と目されているが、優秀なマクミロンは65歳前後まで続ける可能性が高く、そうなるとファーナーはつなぎとなってしまう。

 だとすると次の世代が役員リストにそろそろ入ってくるのではないか……といったことをリストを眺めながら考えることからスタートするのである。

 昨年度は役員に変更がなかったが、今年度は大きな新人事が発表されている。CFO(最高財務責任者)のブレット・ビッグス(53歳)が退任し、後任として電子決済サービス大手ペイパル(PayPal)のCFOだったジョン・レイニーが就任するというのだ。

 この人事は実に興味深い。

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記事執筆者

在米40年、現在はロサンゼルス在住。小売業界ジャーナリスト。年間訪問店数はのべ600店舗超、現場検証に基づいた分析をモットーとする。

著書

『ソリューションを売れ!』(ニューフォーマット研究所)
『誰も書かなかったウォルマートの流通革命』(商業界)
『アマゾンVSウォルマート ネットの巨人とリアルの王者が描く小売の未来』(ダイヤモンド社)

 

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