米ディスカウントストア大手のターゲットは、好調な業績を背景に従業員の待遇改善を進める。同社は2月28日、最低時給を15〜24ドルの範囲に設定すると発表した。2017年に最低時給を15ドルに引き上げる計画を発表し、地域ごとに順次引き上げてきたが、職種や地域の賃金水準に応じて、最低賃金を上限24ドルまで引き上げる。対象は店舗や物流センター、本社などで働く時間給従業員。
福利厚生も見直す。会社が保険料の一部を負担する健康保険への加入条件を4月以降、緩和する。現在は週平均30時間以上勤務している従業員が対象だが、この条件を週平均25時間に引き下げる。これにより、時間給従業員の20%が新たに健康保険に加入できるようになる。こうした待遇改善に今後1年で3億ドル(約345億円)を投じる計画だ。
デジタル投資の効果などにより、ターゲットの業績は好調に推移している。3月1日に発表した22年1月期第4四半期(21年11月〜22年1月)の既存店売上高の伸びは前年同期比8.9%増と、20.5%増だった前年同期をさらに上回り、19四半期連続でのプラスとなった。
22年1月期通期では、既存店売上高は前期比12.7%増、トータルの売上高は13.3%増の1060億ドルだった。ネットスーパーを中心とするデジタル売上高は、19年以降で130億ドル近く伸びた。売上高の伸びが販管費の上昇を上回ったことから、営業利益は36.8%増の89億ドル、純利益は59.0%増の69億ドルとなった。