中国PPI、11月は前年比+12.9%に鈍化 商品価格抑制策が奏功
[北京 9日 ロイター] – 中国国家統計局が9日発表した11月の中国生産者物価指数(PPI)は前年比12.9%上昇となり、10月の13.5%上昇から伸びが鈍化した。政府による商品価格高騰の抑制策が奏功したほか、電力不足の緩和も価格鈍化につながった。
ロイターがまとめたアナリストの予想は12.4%上昇だった。
PPIは5月以降、商品価格の急騰を背景に伸びが加速し、10月は26年ぶりの高い伸びを記録。企業は最終製品価格に転嫁するよう迫られた。
ただ、当局はこの数カ月で価格抑制に向けた措置を相次いで打ち出し、石炭の価格目標設定や増産要請などが功を奏して今冬に見込まれていた電力不足が緩和した。
キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏はリポートで「食品を除けば、価格上昇圧力は重工業をはじめ、全般的に和らいでいる」と指摘。「このため、インフレ懸念は中国人民銀行が政策金利引き下げを含む追加緩和策を決める際の妨げにはならないだろう」とした。
人民銀(中央銀行)は6日、減速する景気の押し上げに向け、今年2回目の預金準備率引き下げを発表している。
統計局の高官、董莉娟氏は発表文で、急騰するエネルギーおよび原材料価格の抑制に向けた政府の政策が効果を表していると説明した。
しかし、PPIの内訳をみると、石炭の採掘・選炭価格は前年比88.8%上昇、石油・ガス抽出も68.5%上昇しており、生産者物価は依然、異例の高い伸びが続いている。
コメルツバンクの新興市場担当シニアエコノミスト、チョウ・ハオ氏はPPIはピークを付けた可能性が高いが、どのようなペースで鈍化するかについては不確実性が高いと指摘した。
一方、11月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.3%上昇し、10月の1.5%上昇から伸びが加速した。市場予想の2.5%上昇は下回った。
新型コロナウイルス対策の厳しい行動制限が消費の阻害要因となっているため、CPIは緩やかな伸びにとどまっており、最終製品への価格転嫁があまり進んでいないことが示された。