[東京 9日 ロイター] – 内閣府が9日に発表した10月の景気ウオッチャー調査で、景気の現状判断DIは55.5となり、前月から13.4ポイント上昇した。上げ幅は2020年6月(23.0ポイント上昇)以来の大きさ。緊急事態宣言の解除を受けて全国的に景況感が上向いた。
現状判断DIは2カ月連続で上昇。2014年1月(55.7)以来の高水準となった。
内閣府は、景気ウオッチャー調査の判断の表現を「新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、緩やかに持ち直している」とし、9月の「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる」から上方修正した。
各分野の内訳では、家計動向関連DIが15.4ポイント、企業動向関連DIが8.6ポイント、雇用動向関連DIが10.4ポイント、前月からそれぞれ上昇した。雇用については「求人数は製造業だけでなく、小売業、飲食業、宿泊業を含め全体的に増加傾向となっている」(東北=職業安定所)との指摘があった。
企業動向関連では「イベント等の制限が緩和され、集客イベント等が少しずつ動いてきている」(南関東=出版・印刷・同関連産業)との声があった。一方、「メーカーの新車生産がコロナ禍と半導体不足により大幅な減産となっている。売る商品がない状況であり、大変厳しい経営状況が続いている」(九州=乗用車販売店)とのコメントもみられた。
先行き判断DIは前月から0.9ポイント上昇の57.5だった。家計動向関連、雇用関連は前月から上昇したが、企業動向関連はわずかに低下した。全体的に改善が続くとみられているものの、ガソリン、光熱費、原材料などの価格上昇が家計や業績を圧迫することに対する懸念も出ていた。
調査期間は10月25日から31日。