[東京 21日 ロイター] – 国土交通省が21日に発表した7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)によると、 全国の住宅地・商業地を含む全用途平均は前年比0.4%下落し2年連続でマイナスとなったが、下落率は縮小した。新型コロナウイルスの感染拡大により店舗やホテルなど商業地への需要が減少した。一方、利便性のよい住宅地や再開発が行われているエリア、物流施設用地への需要は堅調だ。
商業地は同0.5%下落と2年連続のマイナスで、昨年の0.3%下落から下げ幅を拡大した。東京・大阪・名古屋の3大都市圏は0.1%上昇とプラス圏を維持したが、昨年の0.7%から上昇幅を縮小。中でも大阪圏は0.6%下落と、9年ぶりにマイナスに転じた。
国土交通省は、これまで外国人観光客の増加などで店舗・ホテル需要を背景に上昇してきた地域や飲食店が集まっているエリアでは、コロナの影響で「需要減退、先行き不透明感から下落が継続している」と分析した。
住宅地は全体では0.5%下落で前年の0.7%下落からマイナス幅は縮小したが、1992年以降、下落が続いている。雇用や賃金の改善が進まず、需要者が価格に慎重になっていることが背景にある。
一方、交通利便性の優れた地域や再開発プロジェクトが進む地域では価格が上昇した。3大都市圏の住宅地は横ばいとなり、昨年の0.3%下落から改善した。札幌、仙台、広島、福岡の地方4市は4.2%上昇で、前年の3.6%上昇から伸び率が拡大した。
工業地は0.8%上昇し4年連続の上昇となった。巣ごもり需要などで、eコマース市場の拡大に伴い物流施設建設の適地となる地域の需要が強かった。
基準地価は各都道府県が毎年7月1日における調査地点の価格を調査・公表し、国土交通省が全国状況を取りまとめている。今回の調査地点は約2万1400地点。国交省が実施する地価公示(毎年1月1日時点の調査)と実質的に相互補完的な関係にある。