2021年路線価、前年比-0.5% コロナ禍で6年ぶりの減少=国税庁
[東京 1日 ロイター] – 国税庁が1日発表した2021年分の路線価(1月1日時点)は、全国平均で前年比0.5%下落し、6年ぶりに前年比マイナスとなった。新型コロナウイルス感染症拡大によりインバウンド需要が減少したことなどが価格の下落につながった。昨年は大幅に地価が下落した一部の都市では路線価の減額補正が行われており、国税庁は、状況に応じて今年も同様の対応を検討するとしている。
47都道府県のうち価格が上昇したのは7都道府県で、昨年の21都道府県から大幅に減った。昨年、全国で最も高い上昇率10.5%を記録した沖縄県は、今年は大幅に上昇幅が縮小し、同1.6%の上昇にとどまった。
一方、下落は39県で、昨年の26県から増加した。東京都は1.1%下落となり、8年ぶりに前年を下回った。横ばいは山形県のみだった。
都道府県庁所在地の最高路線価をみると、上昇は8都市のみで、2013年の7都市以来の少なさだった。下落は22都市で、2014年に21都市を記録して以来の多さだった。横ばいは17都市。
路線価のトップは36年連続で東京都中央区の銀座中央通りで、1平方メートル当たり4272万円だった。ただ、前年比で7.0%下落し、9年ぶりにマイナスとなった。
路線価は、相続税や贈与税の税額算定の基準となる。毎年1月1日を評価時点とし1年間の地価変動などを考慮し、国土交通省の地価公示価格等を基にした時価の80%程度で算定している。
昨年は、新型コロナウイルスの影響により大阪市の一部で大幅な地価下落が確認されたため、路線価の減額補正を行った。訪日外国人の数が激減し、インバウンド需要が落ちたことが主な要因とみられる。 こうした特別対応はバブル崩壊後やリーマン・ショック後も行っておらず、激甚災害以外の要因で路線価の減額修正を行ったのは昨年が初めて。
国税庁は、今年も、広範な地域で地価が大幅に下落し路線価が地価を上回る状況になった場合は、路線価の減額補正や申告期限の延長などを検討する。
= 都道府県庁所在地都市の最高路線価 =
= 1平方メートル当たり、単位万円、カッコ内は前年比上昇率 =
1:東京都中央区銀座5丁目 銀座中央通り 4272(ー7.0%)
2:大阪市北区角田町 御堂筋 1976(ー8.5%)
3:横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り 1608(3.1%)
4:名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り 1232(ー1.3%)
5:福岡市中央区天神2丁目 渡辺通り 880(0.0%)